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海外口座は税務署にわかる?約275万件のCRS情報から見る海外資産の注意点

税務情報

「海外の銀行口座なら、日本の税務署にはわからない」。

そう考えている方もいるかもしれません。

しかし、国税庁によると、令和6事務年度に日本が海外の税務当局から受け取ったCRS情報は約275万件、個人・法人を合わせた口座残高は約17.7兆円にのぼります。

海外口座を持つ人にとって、こうした情報がどのように共有され、どのような申告と関係するのかを知っておくことは、申告漏れや手続きの見落としを防ぐうえで大切です。

本記事では、税務署が海外資産を把握する仕組みと、口座を持つ人が確認したい税務を解説します。

海外口座は「海外だから税務署にわからない」とは限らない

海外にある口座でも、日本の税務当局へ情報が届く仕組みがあります。

その代表が、金融口座情報を国境を越えて自動交換するCRSです。

CRSの正式名称は「共通報告基準」といい、各国の金融機関が、その国の非居住者に当たる人などの口座情報を税務当局へ報告し、居住地国の税務当局へ提供するためのものです。

2026年9月時点の最新公表資料では、令和6事務年度に日本は101か国・地域から日本居住者のCRS情報を受け取っています。

約275万件の内訳は、個人口座が約272万件、法人口座が約3万件です。

口座残高は個人が約9.6兆円、法人が約8.1兆円で、受領件数の大半は個人口座です。

これらはあくまで情報交換の実績であり、その全件で申告漏れが見つかったり、残高全体に課税されたりしたという意味ではありません。

一方で、海外にある口座だからといって、日本の税務当局に把握されないわけではないことがわかります。

では、CRSによって具体的にどのような情報が共有されるのでしょうか。

税務署は海外口座のどんな情報を把握できる?

CRSで共有されるのは、「海外に口座がある」という事実だけではありません。

海外口座の残高、利子や配当も共有される

CRSでは、対象となる口座の残高や価額も報告されます。

また、口座の種類に応じて、利子や配当などの年間受取総額も報告対象となります。

氏名や住所などの本人情報も共有される

CRSでは、口座残高や収入だけでなく、口座を誰が保有しているのかを特定するための情報も報告されます。

主な情報は、氏名・住所・居住地国・納税者番号・口座番号などです。

すべての海外口座が税務署に共有されるとは限らない

すべての国・金融機関・口座が、一律にCRSの対象になるわけではありません。

また、CRSとは別に、租税条約等に基づいて外国の税務当局へ個別に情報提供を求める仕組みもあります。

そのため、CRSの対象外だから日本の税務当局に情報が伝わることはない、とは言えません。

海外口座を把握する仕組みはCRSだけではない

税務署が海外資産の情報を得る仕組みは、CRSだけではありません。

例えば、次のような場合にも情報が税務署へ伝わります。

  • 海外へ100万円を超える送金をした・海外から受け取った

→国内の金融機関から「国外送金等調書」が提出され、氏名・住所・取引金額などが税務署へ伝わります。

  • 国内外の証券口座間で株式などを移した

→国内の金融機関等から「国外証券移管等調書」が提出されます。

現金の送金だけでなく、有価証券の移動についても情報を得る仕組みがあります。

また、税務当局が海外での取引について個別に確認する必要がある場合には、租税条約等に基づき、外国の税務当局へ情報提供を求めることもあります。

このように、海外口座や海外資産に関する情報は、複数のルートから税務署へ集まります。

さらに国税庁は、CRS情報を国外送金等調書や国外財産調書などの資料とあわせて分析し、海外資産や国外所得の把握に活用しています。

海外口座を持つ人が確認したい3つの税務

海外口座を持っている場合は、主に次の3点を確認しましょう。

  1. 海外口座から生じた所得の申告
  2. 国外財産調書の提出
  3. 相続・贈与で取得した海外資産の申告

1. 海外口座から生じた所得の申告

日本の居住者のうち非永住者以外の人は、原則として国内外の所得が課税対象です。海外預金の利子や配当、有価証券の売却益などについても、申告が必要になる場合があります。

この区分の人は、利益を海外口座に残したままで日本へ送金していなくても、それだけを理由に課税対象外になるわけではありません。

なお、非永住者や非居住者は課税範囲が異なります。

2. 国外財産調書の提出

居住者(非永住者を除く)が、12月31日時点で合計5,000万円を超える国外財産を保有している場合は、国外財産調書の提出が必要です。

判定する際は海外預金だけでなく、国外財産に該当する有価証券や不動産なども合算します。

外貨建て資産は円換算して判定するため、資産額そのものが変わっていなくても、為替相場によって5,000万円を超える場合があることに注意が必要です。

3. 相続・贈与で取得した海外資産の申告

相続・贈与で取得した海外口座や海外資産も、日本の相続税・贈与税の対象になる場合があります。

課税範囲は、財産の所在地だけでなく、被相続人・相続人、贈与者・受贈者の住所や国籍、過去の居住状況などによって異なります。

「海外にある財産だから日本では申告不要」と判断せず、取得した経緯も含めて確認しましょう。

まとめ:海外口座・海外資産の申告に迷ったら税理士へ相談を

海外口座の情報は、CRSをはじめとする複数の仕組みで把握されることがあります。必要な対応は、財産額、所得の種類、相続・贈与の有無などで変わります。

国際税務や資産税に詳しい税理士であれば、国外所得の申告から国外財産調書、相続・贈与まで一緒に確認することが可能です。

過去の申告に不安がある場合は、海外口座の明細や利子・配当の資料、過去の確定申告書などをそろえ、必要に応じて税理士へ相談しましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の判断については、専門家にご相談ください。

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