2026年(令和8年度)税制改正では、住宅ローン控除の適用期限が2030年末まで5年間延長されました。
今回の改正では、控除率0.7%などの基本的な仕組みは継続される一方で、住宅の種類や省エネ性能、入居時期によって借入限度額や控除期間の扱いが変わります。
本記事では、2026年以降の住宅ローン控除について、借入限度額・控除期間の早見表とあわせて、住宅購入前に確認しておきたいポイントを解説します。
・住宅ローン控除の基本的な仕組み

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合に、一定の要件を満たすことで所得税などから控除を受けられる制度です。
正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。
住宅ローン控除は、所得から差し引く「所得控除」ではなく、計算された所得税額から直接差し引く「税額控除」です。
たとえば、所得税額が20万円で住宅ローン控除額が14万円の場合、差し引き後の所得税額は6万円になります。
控除額は、年末時点のローン残高に0.7%をかけて計算します。
ただし、控除の対象にできるローン残高には住宅の種類ごとに上限があるため、必ずしも残高すべてが控除対象になるとは限りません。
また、補助金や住宅取得等資金の贈与税非課税措置を利用した場合は、取得対価の調整により控除額の計算に影響することがあります。
住宅ローン控除は、住宅を購入する人にとって心強い制度です。
ただし、控除を受けられる条件や控除額の計算に関わる内容は、税制改正によって変わることがあります。
では、令和8年度税制改正によって、住宅ローン控除はどのように変わるのでしょうか。
主な改正点を確認していきましょう。
・令和8年度税制改正のポイント

今回の改正では、住宅ローン控除の適用期限が延長されるだけでなく、既存住宅(中古住宅)や床面積要件、一部新築住宅の扱いも見直されます。
主な改正点は、次の5つです。
| 改正点 | 内容 |
| ①適用期限の延長 | 2030年12月31日入居分まで延長 |
| ②省エネ性能の高い既存住宅の控除枠拡大 | 借入限度額の引き上げ・控除期間13年化 |
| ③床面積40㎡緩和の既存住宅への拡大 | 40㎡以上50㎡未満の既存住宅も対象に
(所得制限等あり) |
| ④子育て世帯等への借入限度額の上乗せ | 対象世帯は借入限度額の上乗せを受けられる |
| ⑤一部の新築住宅の対象外化 | 省エネ基準適合住宅の一部や、
災害レッドゾーン内の新築住宅は対象外となる場合あり |
特に大きな変更点は、省エネ性能の高い既存住宅(中古住宅)について、借入限度額や控除期間が見直される点です。
一方で、新築住宅については、省エネ性能や立地によって対象外となるケースもあるため、購入前の確認が重要になります。
・住宅ローン控除の借入限度額・控除期間早見表

住宅ローン控除では、住宅の種類や省エネ性能によって借入限度額や控除期間が異なります。
控除を受けるにあたっては、購入予定の住宅がどの区分に該当するかを確認しておくことが重要です。
住宅の新築・購入を中心に、主な住宅区分ごとの借入限度額と控除期間を表にまとめたものが以下です。
| 住宅の種類 | 通常の借入限度額 | 子育て世帯等の借入限度額 | 控除期間 |
| 認定長期優良住宅・
認定低炭素住宅 新築住宅・買取再販住宅 |
4,500万円 | 5,000万円 | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅
新築住宅・買取再販住宅 |
3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅
新築住宅 2026・2027年入居 |
2,000万円 | 3,000万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅
新築住宅 令和10年以降に建築確認を受けるもの |
原則対象外※ | 原則対象外※ | ー |
| 認定長期優良住宅・
認定低炭素住宅 既存住宅 |
3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅
既存住宅 |
3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅
既存住宅 ※買取再販住宅を含む |
2,000万円 | 3,000万円 | 13年 |
| その他の住宅
新築住宅・買取再販住宅 |
対象外 | 対象外 | ー |
| その他の住宅
既存住宅 |
2,000万円 | 2,000万円(上乗せなし) | 10年 |
※2027年12月31日以前に建築確認を受けた場合、または2028年6月30日以前に建築された場合は、借入限度額2,000万円・控除期間10年で適用できる場合があります。この場合、子育て世帯等の上乗せはありません。
上記のとおり、2026年以降は、既存住宅(中古住宅)や一部の新築住宅の扱いに注意が必要です。
・令和8年度税制改正における5つの変更点

ここからは、先ほど挙げた5つの改正点について詳しく解説します。
①適用期限は2030年入居分まで5年間延長される
住宅ローン控除の適用期限は、2030年12月31日までの入居分まで5年間延長されました。
金利や住宅価格の上昇により住宅取得時の負担が大きくなりやすい中、これから住宅を購入する人も引き続き税負担の軽減を受けられる点がメリットです。
ただし、延長されるのは制度の適用期限であり、控除期間や借入限度額は住宅の区分によって異なります。
②省エネ性能の高い既存住宅の控除枠が拡大される
2026年以降は、省エネ性能の高い既存住宅について、借入限度額や控除期間が見直されます。
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅に該当する既存住宅は、借入限度額が通常3,500万円、子育て世帯等は4,500万円となります。
また、省エネ基準適合住宅に該当する既存住宅についても、借入限度額は通常2,000万円、子育て世帯等は3,000万円となり、控除期間は13年です。
これにより、中古住宅を購入する場合でも一定の省エネ性能を備えている物件の場合は、住宅ローン控除を受けやすくなります。
③床面積40㎡台の既存住宅も対象に入りやすくなる
床面積要件についても、既存住宅に対して40㎡以上に緩和する措置が適用されます。
これにより、40㎡以上50㎡未満の既存住宅も、一定の要件を満たせば住宅ローン控除の対象となります。
ただし、次のいずれかに該当する場合は、床面積50㎡以上であることが必要です。
・合計所得金額が1,000万円を超える場合
・子育て世帯等への借入限度額の上乗せ措置を利用する場合
40㎡以上50㎡未満の住宅を検討する場合は、所得要件や上乗せ措置との関係を事前に確認しておきましょう。
④子育て世帯等は借入限度額の上乗せを受けられる
子育て世帯等に該当する場合、一定の住宅について借入限度額の上乗せを受けられます。
子育て世帯等とは、19歳未満の子を有する世帯、または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯を指します。
上乗せ後の借入限度額は住宅の種類によって異なり、認定住宅やZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅などで通常より高く設定されています。
ただし、子育て世帯等の上乗せ措置を利用する場合は、床面積50㎡以上であることが必要です。
⑤一部の新築住宅は住宅ローン控除の対象外になる
今回の改正では、次のような新築住宅について、住宅ローン控除の対象外となるケースがあります。
・令和10年以降に建築確認を受ける省エネ基準適合住宅
・令和10年以降に入居する災害レッドゾーン内の新築住宅
新築住宅では、2025年4月以降、省エネ基準への適合が原則義務化されています。
そのため、令和10年以降に建築確認を受ける省エネ基準適合住宅は、住宅ローン控除の対象外となり、ZEH水準省エネ住宅など、より省エネ性能の高い住宅へ支援が重点化されます。
ただし、省エネ基準適合住宅であっても、令和9年12月31日以前に建築確認を受けた場合、または令和10年6月30日以前に建築された場合は、借入限度額2,000万円・控除期間10年で住宅ローン控除を受けられる場合があります。
この場合、子育て世帯等への上乗せはありません。
また、令和10年以降に入居する災害レッドゾーン内の新築住宅も、原則として住宅ローン控除の対象外となります。
ただし、建替え、既存住宅、リフォームは適用対象とされています。
新築住宅を検討している場合は、省エネ性能だけでなく、建築確認の日付や物件の立地も確認しておきましょう。
・住宅の種類・性能は贈与税の非課税限度額にも影響する

住宅を購入する際に、親や祖父母などから資金援助を受ける場合は、「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」も確認しておきましょう。
この制度は、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合に、一定額まで贈与税が非課税となる制度です。
非課税限度額は、贈与を受けた人ごとに、省エネ等住宅に該当する場合は1,000万円、それ以外の住宅の場合は500万円です。
ただし、贈与税の非課税措置における「省エネ等住宅」は、住宅ローン控除の区分と完全に同じではありません。
省エネルギー性能だけでなく、耐震性能やバリアフリー性能によっても判定されるため、住宅性能証明書などの必要書類を確認しておくことが重要です。
また、住宅取得等資金の贈与税の非課税措置は、現行制度では令和8年12月31日までの贈与が対象です。
住宅ローン控除の適用期限とは異なるため、親族からの資金援助を予定している場合は、贈与の時期、金額、入居時期、必要書類をあわせて確認しておきましょう。
・住宅ローン控除を受けるには購入前の要件確認が重要
住宅ローン控除を利用する場合は、自分の購入予定の住宅がどの区分に該当するのかを事前に確認することが重要です。
また、親や祖父母などから住宅取得資金の援助を受ける場合は、住宅ローン控除だけでなく、贈与税の非課税措置もあわせて確認する必要があります。
住宅の種類や性能によって非課税限度額が変わるため、住宅取得資金の贈与や相続対策を含めて検討する場合は、贈与の時期や金額、必要書類を含めて専門家に確認しておくと安心です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については、税理士などの専門家にご相談ください。


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