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デジタル遺言で何が変わる?いつから使える?メリット・デメリットを解説

相続

「デジタル遺言を使えば、パソコンで遺言書を作成できる」と聞き、いつから利用できるのか気になっている方もいるでしょう。

2026年の民法改正により、電子データを利用できる新しい遺言方式「保管証書遺言」が創設されることになりました。

本記事では、デジタル遺言がいつから始まるのか、作成手続きやメリット、制度開始までに考えておきたい相続対策について解説します。

デジタル遺言とは?いつから利用できる?

「デジタル遺言」は法律上の名称ではありません。

2026年の民法改正では、新しい普通方式の遺言として「保管証書遺言」が創設されることになりました。

保管証書遺言には、書面で作成するものと電磁的記録で作成するものがあります。

このうち、電磁的記録で作成された遺言書は、法律上「電子保管証書遺言書」と呼ばれます。

一般に「デジタル遺言」と呼ばれているのは、この電子データを利用した遺言です。

従来の遺言との大きな違いは、遺言の全文を手書きせず、電子データで作成した遺言を法務局で保管できるようになる点です。

デジタル遺言は2026年9月時点ではまだ利用できません。

改正法は2026年6月24日に公布され、保管証書遺言に関する改正は公布日から3年を超えない範囲内で、政令で定める日に施行されます。

そのため、遅くとも2029年6月までには制度が始まりますが、具体的な施行日は2026年9月時点では決まっていません。

デジタル遺言の作成手続きの流れ

デジタル遺言は、大きく「遺言内容の作成→法務局への保管申請→本人確認・全文の口述→法務局での保管」という流れで作成します。

具体的な申請方法や手数料、電子データの形式など、制度の細かな運用方法は今後定められます。

1.遺言内容を作成して署名等を行う

まず、パソコンなどを使って遺言内容を作成します。

電子データで作成する場合は、遺言の全文に加えて遺言者の氏名を記録する必要があります。

また、作成した証書には、署名または法務省令で定める署名に代わる措置が必要です。

2.法務局へ保管を申請する

遺言内容を作成したら、遺言書保管官へ保管を申請します。

申請の際には、保管証書遺言書とともに、氏名、生年月日、住所、本籍などの申請情報を提供します。

受遺者や遺言執行者を遺言書に記載している場合には、その氏名・名称や住所に関する情報も必要です。

保管証書遺言として効力を生じるためには、作成した遺言書が法務局で保管される必要があります。

3.本人確認を受けて遺言の全文を口述する

保管申請では本人確認が行われるほか、遺言者は原則として、遺言書保管官の前で作成した遺言の全文を口述します。

つまり、作成済みの電子データを法務局へ提出するだけでは手続きは完了しません。

なお、財産目録については、遺言書保管官が遺言者に閲覧させるなど、法務省令で定める措置を講じた場合には口述を省略できます。

また、発話による口述ができない場合などは代えるための特則も設けられています。

4.一定の場合はウェブ会議も利用できる

一定の場合には、法務局へ出向かず、ウェブ会議を利用して本人確認や遺言全文の口述を行うこともできます。

ただし、遺言者が希望すれば必ずウェブ会議を利用できるわけではありません。

遺言者からの申出があり、遺言書保管官がその申出を相当と認める必要があります。

ウェブ会議を利用できれば、本人確認や全文の口述のために法務局へ出向く負担を減らせます。

デジタル遺言のメリット

デジタル遺言のメリットは、主に以下の2つです。

全文を手書きする負担を減らせる

デジタル遺言では、遺言の全文をパソコンなどで作成できるため、自書する負担を減らすことができます。

現在の自筆証書遺言は、財産目録を除き、遺言者本人が本文を自書する必要があります。

パソコンで作った本文を印刷して署名しただけでは、自筆証書遺言として有効にはなりません。

財産の種類や承継先が多く、遺言内容が長くなる場合には、全文を手書きすることが大きな負担となることもあります。

デジタル遺言では、全文を手書きする必要がないため、遺言作成の負担を軽減できます。

法務局で保管されるため紛失や隠匿を防げ、検認も不要になる

デジタル遺言を含む保管証書遺言は、法務局で保管されます。

自宅で遺言書を保管する場合と比べて、紛失したり、相続開始後に発見されなかったり、廃棄・隠匿されたりするリスクを抑えられます。

また、法務局で保管された保管証書遺言は、家庭裁判所の検認が不要です。

検認とは、相続人に遺言書の存在と内容を知らせるとともに、検認時点における遺言書の状態を確認する手続きです。

検認が不要なため、相続開始後に家庭裁判所で検認を受けてから手続きを始める必要はありません。

ただし、これらのメリットは、デジタル遺言だけに新しく生じるものではありません。

全文を手書きしなくてよい点は、公正証書遺言ではすでに実現しています。

また、現在でも自筆証書遺言を法務局の「自筆証書遺言書保管制度」で保管すれば、紛失や改ざんなどのリスクを抑えられ、家庭裁判所の検認も不要です。

デジタル遺言は、こうした既存制度とは異なる仕組みで、遺言の新たな選択肢を増やす制度といえます。

デジタル遺言のデメリット・注意点

デジタル遺言は、パソコンなどで遺言内容を作成できる制度ですが、電子データを作成するだけで手続きが完了するわけではありません。

署名等や全文の口述、法務局への保管など、法律で定められた手続きを行う必要があります。

WordやPDFなどで遺言内容を作成し、自宅のパソコンやクラウドに保存しておくだけでは、保管証書遺言としての効力は生じません。

そのため、「パソコンだけで簡単に遺言を作成して保存できる制度」をイメージしている場合には、想定より手続きが必要になる点がデメリットといえるでしょう。

また、2025年10月1日から始まった「公正証書作成手続きのデジタル化」と、今回創設されたデジタル遺言は別の制度です。

公正証書遺言のデジタル化は、従来からある公正証書遺言の作成・保存手続きをデジタル化したものです。

デジタル遺言は、それとは別に新しく設けられる遺言方式です。

デジタル遺言が始まるまで待つべき?

デジタル遺言を利用したい場合でも、相続対策そのものを制度開始まで待つ必要はありません。

急いで遺言を作成する事情がなければ、デジタル遺言の開始を待つことも選択肢の一つです。

一方で、遺言書を作成する時期と、相続対策を始める時期は分けて考える必要があります。

特に不動産や自社株など分けにくい財産がある場合には、財産の把握や評価、承継先、遺留分への対応、相続税額の把握、納税資金の準備などを、早めに進めておくと良いでしょう。

まとめ:デジタル遺言が始まる前に相続対策を考えよう

デジタル遺言は、2026年9月時点ではまだ利用できません。

制度が始まれば、遺言の全文を手書きせず、パソコンなどを使って作成できる新たな選択肢が加わります。

ただし、相続対策まで制度開始を待つ必要はありません。

相続税や財産評価、納税資金など相続対策について悩んでいる場合は、税理士など専門家へ相談することをおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の判断については、専門家にご相談ください。

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