「どうせ車を買うなら、高級車にすれば相続税対策になるのでは」
そう考えた父が、3,000万円の車を購入していたとします。
その後、父が亡くなり、家族が相続財産を確認することに。
購入価格どおり3,000万円の財産になるのか、中古車だからもっと安くなるのか。
そして、父が期待した相続税対策にはなっていたのでしょうか。
結論からいうと、高級車の相続税評価で重要なのは、原則として「亡くなった時点の価値」です。
購入価格より下がっていることもあれば、希少な車では上がっていることもあります。その違いを見ていきましょう。
高級車の相続税評価は『相続時の時価』で決まる

3,000万円で買った高級車だからといって、相続税でも3,000万円の財産として扱われるわけではありません。
見るのは、その車の所有者が亡くなった時点で、その車にどれくらいの価値があったかです。
たとえば、3,000万円で購入した車でも、数年後には同じような中古車が2,000万円前後で取引されているかもしれません。
その場合は、購入価格ではなく、こうした相続時の市場価値をもとに評価します。
自動車は、相続税では「一般動産」に分類されます。
一般動産は、同じような物の取引価格や専門家の意見などを参考に相続税評価を行うと国税庁は定めています。
つまり、高級車を相続したときに確認したいのは、「いくらで買ったか」ではなく、「亡くなった時点でいくらくらいの価値があったか」です。
高級車の「時価」はどうやって調べる?

高級車の時価を調べるときは、まず同じような車の買取相場などを確認します。
中古車サイトのなかには、車種や年式などから買取相場を調べられるものもあります。
ただし、一般向けに掲載されている中古車の販売価格が、そのまま相続税評価額になるわけではありません。
また、同じ車種でも、グレードや年式、走行距離、車両の状態、修復歴、オプションの内容などによって価格は変わります。
そのため、3,000万円クラスの高級車や希少車では、中古車サイトの掲載価格だけで判断せず、買取業者や高級車の専門業者に査定を依頼する方法が現実的です。
相続後に査定を依頼する場合は、相続税の申告に使用することを伝え、亡くなった日時点の相場や車の状態を踏まえた評価が可能か確認するとよいでしょう。
相続税の申告で評価額の根拠を説明する時のために、査定書や当時の写真、整備記録なども残しておくことをおすすめします。
なお、同じような車の取引価格や査定額が確認できない場合は、同種・同規格の新品の相続時点での小売価格から、製造時から相続時までの償却費などを差し引いて評価します。
なぜ高級車は「相続税対策になる」と言われる?

理由の一つは、現金と車では、時間がたったときの価値の変わり方が異なるためです。
現金は3,000万円なら相続時も基本的に3,000万円の財産ですが、車は相続時の時価で評価されるため、値下がりしていれば相続財産の評価額も下がります。
たとえば、3,000万円の現金で高級車を購入し、数年後の相続時には2,000万円の価値になっていたとします。
現金のままなら3,000万円ですが、車なら相続時の2,000万円をもとに評価します。
そのため、このケースの場合、現金で持ち続けていた場合と比べて、相続財産の評価額が1,000万円低くなるということです。
「どうせ車に乗るなら、現金で持っているより相続税対策にもなるし高級車にしよう」と考える気持ちは、こうした仕組みから出てくるわけです。
ただし、高級車に特別な節税制度があるわけではありません。
車そのものの価値が下がった結果として、相続時の評価額も下がっているだけです。
そのため、節税だけを目的に買って必ず得をするわけではありません。
高級車によっては価値が上がることもある

高級車は、年数がたてば必ず値下がりするわけではありません。
希少モデルや限定車、クラシックカーなどは、人気によって購入時より価格が上がることもあります。
たとえば、3,000万円で購入した車が相続時には3,500万円の価値になっていれば、その3,500万円をもとに相続税評価を行います。
つまり、「相続税対策にもなる」と考えて購入しても、値上がりすれば、現金3,000万円を持っていた場合より相続財産の評価額が高くなることもあるのです。
まとめ|高級車の相続税評価は「買った値段」ではなく相続時の価値で決まる
3,000万円で購入した高級車でも、相続税で3,000万円と評価されるとは限りません。購入時より時価が下がっていれば、購入価格より低い金額で評価されることがあります。
一方、希少車などでは購入時より価値が上がり、相続税評価額が購入価格を上回ることもあります。
そのため、これから「高級車を買えば相続税対策になるのでは」と考えている方は、他の方法も合わせて検討することが大切です。
生前贈与や生命保険、不動産の活用など、相続対策にはほかにもさまざまな方法があります。
保有している財産や家族構成によって適した方法は異なるため、一度全体の資産を税理士に見てもらうのが良いでしょう。
すでに相続が発生し、相続財産の中に高級車がある場合には、まず相続時点での適正な価値を確認する必要があります。
特に高額車や希少車は、一般的な中古車より評価が難しいこともあるため、査定資料などをそろえておくと安心です。
相続税は、預貯金、不動産、有価証券などの財産や債務なども含めて全体を確認し、申告の要否や税額を判断します。
これから相続対策を考える場合も、すでに相続した場合も、まずは一度税理士に相談することをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の判断については、専門家にご相談ください。


コメント