不動産の売却は相続前と相続後のどちらが得なのかを徹底解説

不動産

不動産は相続税の金額を上げてしまう、相続人の悩みの種になりがちな資産です。多くの不動産を所持している場合、不動産オーナー様は自分の亡き後のことを心配して「相続前に売却して現金にして相続させるか、相続後に相続人の自由に任せて売却してもらうべきか」と迷われている方もいらっしゃるかと思います。

相続前と相続後、それぞれにはメリットとデメリットが存在します。今回の記事では、これらを詳しく解説します。

相続前に不動産を売却するメリットとデメリット

メリット

まず、不動産の相続手続きには手間と費用がかかります。不動産の所有権移転の登記をするにあたって、司法書士に依頼することがほとんどです。費用はもちろん、司法書士に提出する書類を準備する手間もかかります。

被相続人が亡くなったあとの遺族はやるべきことが多く疲弊しています。相続前に売却することで将来の負担を減らしておくことができます。

また不動産は分割しづらい資産のため、不動産をどうするかを巡ってトラブルになることもあります。相続前に不動産を売却して現金にして分配することで、相続トラブルを未然に防ぐことができます。

デメリット

相続前に売却を急ぐと、低い価格で売却してしまう可能性があります。そして重要なポイントなのですが、相続前に売却すると「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」の控除が適用されないため、結果として税負担が増えることがあります。

「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」では、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算して控除することができます。

「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」が適用されるための要件は3つあります。

  1. 相続や遺贈により財産を取得した人であること。
  2. その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
  3. その財産を、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで(3年10か月以内)に譲渡(売却)していること。

「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」は、相続後に売却する場合のメリットといえるでしょう。

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相続後に不動産を売却するメリットとデメリット

メリット

相続後に不動産を売却する場合、先ほどの「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」や「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」などで一定の条件を満たせば、譲渡所得税の特別控除を受けることができます。

不動産の相続自体も、市場価格より低めの路線価を基準とするため評価額が低めになります。さらに「小規模宅地等の特例」による軽減措置によって評価額が下がります。

相続前に不動産を現金化してしまうと、現金は不動産ほど評価額が下がらないため、相続税の節税対策面で不利になってしまうかもしれません。

そして相続後に売却する場合、高い価格で売却できるチャンスが現れるまで待つこともできます。

デメリット

不動産を所有し続けるかぎり、管理する費用や手間、さらに固定資産税が発生します。あとは不動産の資産の所有権や売却の可否を巡って相続トラブルが発生する可能性もあります。

最も困るのが多額の不動産資産を相続したにも関わらず、相続人たちには多額の相続税を払うための現金をもっておらず、現金を捻出するために泣く泣く安値で不動産を手放してしまうケースです。

以上のことから、税金やお金の面だけでなく家族の気持ちといった精神面にも配慮して、相続前か相続後かを判断したほうがよいことがわかります。

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どちらが得なのか?チェックポイント3つご紹介

一概にどちらがよいのかを判断するのではなく、経済面や家族面など多角的に考慮した上で決めることがよい選択といえるのではないでしょうか。下記3つのチェックポイントを中心に考えることをおすすめします。

1.相続人の経済的体力

不動産を相続したときに相続税を払える現金を相続人たちは保有していますか。相続税を支払ったあとに、相続人たちが困窮するリスクはありませんか。または、被相続人が相続税分の現金を遺せますか。

2.家族・親族からの同意

だれになにを相続させるか、家族・親戚からの同意を得ていますか。日頃からきちんとコミュニケーションをとれていますか。

3,不動産市場の景気

これからも不動産市場が好調なら相続後に売却したほうがいいですが、下落の可能性があるなら早い段階で売却するのも手です。

個人的な結論として、相続トラブルになりそうなら相続前の売却が安心かと思います。一方で、税制の恩恵を受けたいなら相続後の売却を相続人に検討してもらうのがよいと思います。

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上がり続ける路線価

路線価は相続税を算出するときの基準となります。

2024年7月1日に国税庁が発表した路線価のデータによれば、全国の平均路線価は前年に比べて2.3%上昇、3年連続の上昇でした。47都道府県のうち、上昇したのは29都道府県で、昨年の25都道府県から4県増えています。

弊所の最寄駅である北浦和駅(埼玉県)の西口前の路線価も、ここ2年間で上がり続けています。

令和4年:55万円/1平方メートル

令和5年:58万円/1平方メートル(約5.45%増)

令和6年:60万円/1平方メートル(約3.45%増)

これからも経済が好調であれば、路線価や市場価格は上がり続けます。好調な今のうちに売却するか、のちのち売却してもらうか、不動産市場を見極める力が問われますね。

不動産関連のご相談なら佐久間会計事務所にお任せください!

家庭の事情や不動産市場の変動によって、どのタイミングで不動産を売却したほうが得策かは違ってきます。自分で調べたり、家族と話し合ったりして決めることも大切ですが、税理士など専門家からの意見をもらっておくと安心です。

佐久間会計事務所では、不動産オーナー様のサポートに強みをもっています。不動産売却の案内や2次相続対策も含めた⽣前対策など、幅広いご相談に対応しております。

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