税理士と一般企業の経理の違いは?業務内容、年収などから考える

税務情報

税理士の業務の一貫としてクライアント企業の会計業務がありますが、一般企業で働く経理であっても税理士と同様に決算書を作成するなどの会計業務を行います。なかには法人税申告まで行う経理もいるでしょう。また、経理経験者が税理士試験の簿記論、財務諸表論を勉強し、税理士へとステップアップすることもあります。税理士資格がなくても経理の仕事はできますが、いったい経理と税理士にはどのような違いがあるのでしょうか?

税理士と経理の業務内容の違い

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税理士と経理の業務内容にはどのような違いがあるのでしょうか?税理士試験に合格しなければ税理士といった肩書きを得られないものの、就職試験をパスすれば資格なしでも経理になることができます。

しかし、企業が納める税金である法人税については、税理士資格のない一般企業の経理であってもある程度スキルを積めば申告書を作成できます。となれば、税理士は必要ないかと思われますが、そのようななかで税理士はどのような役割を果たすのでしょうか?

税理士の役割

一般企業をクライアントとする税理士の役割としては、主に下記が挙げられます。

  • 税務相談
  • 税務申告
  • 税務書類の作成代行
  • 財務状況の分析
  • 経営支援

税理士は主にクライアント企業の記帳代行業務を行います。企業によっては規模が小さいために経理を雇えないところもあり、そのような企業の経理代わりとして税理士事務所があります。税理士事務所のスタッフ1人につき、毎年20~30社ほどの企業の決算を対応しています。

そのため、経理のように1つの企業の財務会計を分析して深く掘り下げて企業独自の会計が身に付くというよりは、複数のクライアントを抱えているため、会計に関する幅広いスキルが身につきます。

一般企業の経理の役割

一般企業の経理の役割としては、主に下記が挙げられます。

  • 仕訳入力
  • 現金の管理
  • 振込・支払い手続き
  • 請求書発行
  • 給与計算
  • 経費の整理
  • 減価償却
  • 月次・年次決算

税理士事務所のように複数のクライアントに対応できる会計スキルは身につかないものの、ひとつの企業の財務を深く分析できるようになり、経理のスペシャリストとしてゆくゆくはCFO(最高財務責任者)まで出世することができる可能性もあります。

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年収に違いはあるのか?

税理士と経理の年収には違いがあるのでしょうか?結論から言いますと、大手の事務所(企業)か中小の事務所(企業)であるかによって大きく異なります。また、税理士となると資格の有無によって差があります。

一般企業の経理の場合、大企業などの比較的資金がたくさんある企業であれば、同じことを業務として行っている中小企業に比べると年収が増える傾向にあります。また、税理士の場合には、広告を打っているような大きな税理士法人の場合は、たとえアシスタントであっても個人事務所に比べて年収は高くなるでしょう。さらに税理士の資格を保有している場合、さらに言えば官報合格されているケースですと、より一層年収が高くなる傾向にあります。

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求められるスキルとは?

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税理士と経理ではそれぞれ求められるスキルが異なります。というものの、どちらの場合においても社内外限らずさまざまな人との交流が求められるため、社会人として最低限必要なコミュニケーションスキルは欠かせません。

税理士に必要なスキル

税理士事務所では、税務会計のプロが働いているため、税理士試験の科目合格者や簿記2級保有者にとっては就職に有利だといえます。また、税理士事務所で働く際には、複数のクライアントを抱えることになるため、クライアント先への訪問があります。会計に関する高度な知識やスキルだけでなく、柔軟性のあるコミュニケーションが必要でしょう。

経理に必要なスキル

経理に必要なスキルも、税理士と同様に税務・会計に関する知識やスキルだといえます。簿記2級以上のスキルがあれば重宝されるでしょう。しかし、税理士試験合格に匹敵する知識やスキルを身に付けたとしても、部署異動することもある一般企業では出世に値するかどうかがわかりません。なかには一般企業での経理を経て、税理士としてデビューする方も少なくありません。

また、場合によっては会社のM&Aなどの局面に携わることもあります。その会社が行う事業や経営環境を理解した上での会計処理を行えるかどうかが経理における大切なスキルだといえるでしょう。

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どのようなキャリアパスを描けばいいのか

税理士と一般企業の経理では、業務内容は似ているものの、活かせるスキルなどが異なります。ひとつの企業の財務会計を深掘りしたい場合や、比較的高い年収を希望する場合あれば一般企業の経理が向いているといえます。しかし、税理士資格があれば手に職がある状態ですし、不景気であろうと税理士を求めている企業はたくさんありますので、食いっぱぐれることはないでしょう。手に職をつけて長く働きたいという思いがある方にとっては税理士はベストな職業だと思います。そのような理由からだと思いますが、最近では女性でも税理士を目指す方が増えてきました。

というものの、一般企業で経理を経て、税理士に興味を持ち働きながら勉強して税理士デビューされた方も少なくありません。何歳から勉強を始めても遅くはない資格として税理士はぴったりだと言えます。

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