「領収書とインボイスは何が違うのか」「手元の領収書はインボイスとして使えるのか」と迷うこともあるでしょう。
領収書は、必要事項を満たしていればインボイスとして扱えます。
消費税の仕入税額控除を受ける場合は、受け取った領収書に登録番号や税率ごとの金額、消費税額等が記載されているか確認することが大切です。
この記事では、チェックリストを使って領収書がインボイスとして使えるかを確認しながら、通常の領収書との違いや必要事項、不備がある領収書を受け取ったときの対応まで解説します。
・インボイスと領収書の違い

インボイス(適格請求書)と領収書の違いは、役割と記載事項にあります。
インボイスは、消費税の「仕入税額控除」を受けるために必要な事項が記載された書類です。
仕入税額控除とは、事業者が納める消費税を計算するときに、仕入れや経費にかかった消費税を差し引ける仕組みを言います。
一方、領収書は、代金を受け取ったことを証明する書類です。
ただし、領収書であってもインボイスとして必要な事項が記載されていれば、インボイスとして扱うことができます。
| プロジェクト | インボイス | 領収書 |
| 役割 | 仕入税額控除に必要な事項を示す書類 | 代金を受け取ったことを証明する書類 |
| 書類の名称 | 請求書、領収書、納品書、領収証など
必要事項が記載されていれば名称は問わない |
領収書、領収証、レシートなど |
| 両者の関係 | 必要事項が記載された領収書であればインボイスとして扱える | 必要事項を満たせば、インボイス対応の領収書になる |
・通常の領収書とインボイス対応領収書の違いをチェックリストで確認

領収書をインボイスとして使えるかどうかは、必要事項が記載されているかで判断します。
以下のチェックリストで、手元の領収書がインボイスの要件を満たしているか確認してみましょう。
| 必要なアイテム | 確認ポイント | 通常の領収書での記載 |
| □発行者の氏名または名称 | 店舗名や会社名など、領収書を発行した事業者が記載されているか | あり |
| □登録番号 | Tから始まる13桁の登録番号が記載されているか | 記載がないことがある |
| □取引年月日 | 領収日や購入日が記載されているか | あり |
| □宛名 | 交付を受ける事業者名が記載されているか※簡易インボイスの場合、省略可能 | 記載がないことがある |
| □取引内容 | 商品名やサービス内容が確認できるか 軽減税率の対象であれば、その旨が分かるか |
簡略化される場合がある |
| □税率ごとの合計額 | 10%対象分、8%対象分など、税率ごとの金額が分けて記載されているか | 記載がないことがある |
| □適用税率 | 10%、8%など、適用される税率が記載されているか
※簡易インボイスの場合、「税率ごとの消費税額等」とどちらか一方の記載で可 |
記載がないことがある |
| □税率ごとの消費税額等 | 税率ごとの消費税額等が記載されているか
※簡易インボイスの場合、「適用税率」とどちらか一方の記載で可 |
記載がないことがある |
なお、小売業や飲食店業、タクシー業など、不特定多数の人に販売やサービス提供を行う事業者は、簡易インボイスを発行できます。
簡易インボイスでは、通常のインボイスと異なり、宛名を省略することが可能です。
また「適用税率」または「税率ごとの消費税額等」は、どちらか一方が記載されていれば簡易インボイスとして扱えます。
・インボイス非対応の領収書を受け取ったらどうする?

登録番号がない、税率ごとの金額が分からない、適用税率または税率ごとの消費税額等を確認できないといった領収書は、インボイスの要件を満たさない可能性があります。
ただし、領収書に不備がある場合でも、再発行を依頼したり、他の書類とあわせて要件を満たしているか確認したりすることで、対応できる場合があります。
ここでは、インボイス非対応の領収書を受け取ったときの対応を確認していきましょう。
・必要に応じて再発行や修正を依頼する
受け取った領収書に登録番号や税率ごとの金額などの記載がない場合は、まず取引先に確認し、必要に応じてインボイスの要件を満たす領収書を再発行または修正してもらいましょう。
領収書だけで要件を満たしていなくても、請求書や納品書など他の書類とあわせて必要事項を確認できる場合があります。
複数の書類で確認する場合は、書類同士の関連が分かるように保存しておきましょう。
なお、買手が登録番号や税額などを一方的に追記・修正することは避けましょう。
買手側で修正する場合でも、修正した内容について売手の確認を受けたうえで保存する必要があります。
・少額特例や経過措置に該当するか確認する
インボイスがない場合でも、一定の取引については、帳簿のみの保存で仕入税額控除を受けられるケースがあります。
主な特例や経過措置は、次のとおりです。
・少額特例
一定規模以下の事業者が行う税込1万円未満の課税仕入れについては、インボイスの保存がなくても帳簿のみで仕入税額控除を受けられる場合があります。
・公共交通機関特例
税込3万円未満の電車やバスなどの公共交通機関の利用については、インボイスの保存がなくても帳簿のみで仕入税額控除を受けられる場合があります。
・出張旅費等特例
従業員に支給する出張旅費や宿泊費、日当などについては、通常必要と認められる範囲であれば、インボイスの保存がなくても帳簿のみで仕入税額控除を受けられる場合があります。
・免税事業者等からの仕入れに係る経過措置
免税事業者等からの仕入れについては、一定期間、仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置があります。
控除割合や対象期間は段階的に変わるため、詳しくはインボイスの経過措置は7・5・3割へ|令和8年度税制改正のポイントをご確認ください。
なお、インボイスとして使えるかどうかと、法人税や所得税の経費にできるかどうかは別です。
事業に必要な支出であることを説明できる場合は、インボイス非対応の領収書でも経費として処理できます。
・インボイスと領収書に関するQ&A

本文で解説した内容を踏まえ、実務で迷いやすい点をQ&A形式で確認します。
Q. レシートはインボイスになりますか?
レシートでも、必要事項を満たしていればインボイスとして利用できます。
書類の名称ではなく、登録番号や税率ごとの金額など、インボイスの要件を満たしているかで判断しましょう。
Q. 宛名なしの領収書でもインボイスになりますか?
宛名がない場合でも、小売業や飲食店業など、簡易インボイスを発行できる事業者から受け取った領収書やレシートであれば、インボイスとして扱える場合があります。
簡易インボイスに該当するかどうかは、発行元の業種や、登録番号・税率ごとの合計額などの記載内容をもとに確認しましょう。
Q. 手書きの領収書でもインボイスになりますか?
手書きの領収書でも、登録番号や税率ごとの金額、消費税額等などの必要事項が記載されていれば、インボイスとして扱えます。
ただし、受け取った領収書に不足している項目がある場合、受け取った側が勝手に書き足すことは避けましょう。
修正が必要なときは、発行元に確認することが大切です。
Q. クレジットカード明細があれば領収書はいりませんか?
いいえ。原則として、クレジットカード会社の利用明細だけではインボイスとして扱えません。
仕入税額控除を受けるには、利用した店舗や事業者が発行した領収書やレシートなどを保存する必要があります。
・まとめ:領収書は要件を満たせばインボイスとして扱える
インボイスと領収書は、役割が異なる書類です。
インボイスは仕入税額控除を受けるために必要な事項を示す書類であり、領収書は代金を受け取ったことを証明する書類です。
ただし、登録番号や税率ごとの金額、消費税額等などの必要事項が記載されている領収書は、インボイスとして扱えます。
領収書を受け取った際は通常の領収書との違いを確認し、インボイスの要件を満たしているかチェックしましょう。
インボイス対応の領収書かどうか判断に迷う場合や、仕入税額控除の扱いに不安がある場合は、税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については、税理士などの専門家にご相談ください。


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