会社設立の税制面でのメリット。個人事業主の法人化の目安は?

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売れっ子の芸能人が税金対策として会社を設立するのは有名な話です。また、個人事業主やフリーランスとして活動している方のなかでも、事業が順調に成長していて、収入や利益が増えているタイミングで法人化を検討するケースもあります。

社会的信用など会社設立によって得られるメリットは様々ありますが、今回は税制面から会社設立について考えてみましょう。

会社設立によって得られる税制面のメリット

会社設立によって得られる税制面のメリット

会社設立の一番のメリットはやはり、社会的信用を得やすいことです。最近では会社に属さない個人でもビジネスで名前を残す方が増えていますが、いまだに会社が持つ信用力は大きいです。

また、社会的信用があるからこそ大きな事業にもチャレンジしやすいため、個人として活動するより会社設立するほうがメリットを享受しやすいケースもあります。また、もちろんですが税制面からのメリットもあります。

会社設立のメリット1:役員報酬で節税できる

法人税の節税の手段として、役員報酬を損金として計上するといった方法があります。損金とは、個人事業主やフリーランスにおける経費のようなもので、収入(会社でいうと売上高部分)から引くことができる項目です。損金を計上することによって法人税の課税対象金額が減り、結果として節税につながります。

原則として役員報酬は損金の対象外です。その理由は、役員報酬を損金に算入するために経営者が金額を変えることを防止するためです。しかしながら、役員報酬の支給方法が定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与のいずれかであれば損金として計上できます。

また、通常役員報酬には所得税がかかりますが、家族や親族を役員にすることによって所得税の節税もできます。家族経営の会社は問題視されがちですが、税制面から考えるとメリットがあるのです。

会社設立のメリット2:赤字を繰り越せる

過去の赤字を翌年以降に繰り越す制度を利用することで、たとえ黒字の事業年度であっても赤字分と相殺して法人税の納税額を減らせます。一般的に個人事業主の場合は、青色申告をしていれば過去3年間分の赤字を繰り越せますが、法人であれば最大10年間の繰り越しが可能です。

会社設立のメリット3:相続の対象範囲が広い

個人事業主の場合、本人が死亡すると事業の継続が困難になる可能性があります。そのため、数人を雇っている個人事業主であれば、従業員の仕事がなくなることもあります。しかしながら、会社設立によって法人化されていると、株式の過半数を事業の承継者が相続している場合であれば経営の存続が可能です。

会社設立の税制面でのデメリット

会社設立の税制面でのデメリット

先ほどは会社設立の税制面でのメリットを挙げましたが、その一方で会社設立にはデメリットも伴います。個人の裁量で仕事をする個人事業主やフリーランスとは異なり、会社経営は従業員の生活にも関わるので責任が重大です。

会社設立のデメリット1:法人住民税の均等割がある

会社設立のデメリットとしては、赤字であっても税金を払わなければならない点が挙げられます。

法人税には主に、法人税、法人事業税、法人住民税の3種類があります。法人税とは会社の利益に課税される国税です。そして、法人事業税と法人住民税は地方税で、法人事業税は法人が行う事業そのものに課される税金です。

また、法人住民税とは、法人税割と均等割で構成されています。法人税額をもとに算出される法人税割と異なり、均等割では資本金や従業員の数に応じて算出されます。いわば、会社が存在するだけで課される税金といえるでしょう。そのため、事業が赤字であっても法人住民税の負担は必要です。

会社設立のデメリット2:税理士との関わりが必須

法人では個人事業主と比べて税制や取引が細かくなるため、簡単な会計知識だけでは経理業務がままならないことがあり、経理や総務においてプロの力を借りる必要があります。会社設立後の経営まわりの業務について、税理士に依頼するための経費がかかることを念頭に入れましょう。

また、税理士によっては法人税などの経営まわりの税金について詳しくないことがあるため、ご自身のニーズに合った税理士に依頼しましょう。

会社設立(法人化)のタイミングは?

会社設立(法人化)のタイミングは?

会社設立(法人化)を検討している方の多くは、個人事業主やフリーランスとしての収入が増え、税制面で法人にしたほうがお得と考えているかと思います。

会社設立(法人化)のタイミングについて、税制面から考えると年間の利益が700〜800万円となるあたり(月あたりおよそ60万円)が目安といえます。個人事業主に課税される所得税では超過累進税率が採用されており、所得と税率の関係は下記になります。

所得 税率
1,000円〜1,949,000円 5%
1,950,000円〜3,299,000円 10%
3,300,000円〜6,949,000円 20%
6,950,000円〜8,999,000円 23%
9,000,000円〜17,999,000円 33%
18,000,000円〜39,999,000円 40%
40,000,000円〜 45%

出典:国税庁HPより(2023年4月27日時点)

一方で法人税については、年間所得800万円以下、資本金1億円以下の中小法人は15%。800万円以上になると23.2%になることから、上記の表から会社設立(法人化)の分岐点を考えると、節税効果があるのは利益が700〜800万円あたりに差し掛かったタイミングがベストだと言えそうです。

また、所得税は利益から経費などを差し引いた所得に課税されるので、所得が500〜600万円になった辺りが目安でしょう。

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