贈与税の申告漏れ。現金手渡しであってもばれる理由は?

税務情報

大半の相続において相続税の納税は必要でないものの、富裕層などの資産を多く持つ世帯にとって相続税は避けて通れない税金となっています。そして、彼らは現預金だけでなく不動産や有価証券など多様な資産を持っていることがほとんどです。

相続税の申告期限は被相続人の死から10ヶ月以内で、資産を多く持つ世帯にとってはかなりの短期間となるでしょう。そのため、生前からさまざまな形で配偶者や子、孫といった相続人へ贈与を行うケースが多く、それらを「生前贈与」といい、相続税の節税で行われる対策として最もオーソドックスな手段です。

生前贈与では、子や孫への年間110万円までの贈与が非課税となり、110万円を超えると贈与税が課税されます。贈与を行った際には申告しなければなりませんが、所得税や相続税などの一般的な税金と異なり、個人間でのやりとりのため、形跡を隠すことができそうですよね。

そのため、「わざわざ申告しなくてもバレないのではないか?」と考えてしまいそうですが、実際にはそう上手くいきません。なぜ、贈与税の申告漏れはばれてしまうのでしょうか?よくあるケースを解説します。

基本的に贈与税には時効がある

基本的に贈与税には時効がある

贈与税は、1年間のうちに110万円以上の贈与を受けた際に課税されます。一般的に贈与のあった翌年の3月15日までに申告しなければならず、それより遅くなってしまうと通常の税金と同様にペナルティが課されます。

しかし、なかには「個人間のやりとりぐらいバレないだろう」といった意図であったり、そもそも贈与税がかかるということさえ知らないで贈与が行われることもあります。いわゆる「脱税」です。

このような贈与税の脱税においては、もちろんペナルティが課されるものの、時効が存在します。贈与があった翌年の3月16日(申告期限日の翌日)を起点として6年後に時効が成立し、たとえ贈与税を申告していなくてもさらなる課税となる可能性は低くなります。また、悪質な場合の時効は7年後までです。

なぜ贈与税の申告漏れは税務署にばれてしまうのか?

なぜ贈与税の申告漏れは税務署にばれてしまうのか?

贈与税の時効は7年で、なおかつ個人間での資産のやり取りといえど、なぜ大半は成立しないのでしょうか?贈与税の申告漏れは、贈与者が亡くなった後の相続税の税務調査で判明することが多い傾向にあります。相続税の税務調査では被相続人だけでなく相続人の資産状況も調査するため、その過程で判明するようです。

さらに税務調査では税、務署員が不明に思った点について事細かに質問があり、不明な財産について「これは贈与税か?相続税か?」と確認があります。贈与税は相続税の補完税と呼ばれており、生前贈与の検証が相続税の税務調査において不可欠だとする税務署員は多いです。

相続税はすべての被相続人が対象となるわけではなく、富裕層など資産を多く持った人が対象なので、「あらかじめ何か生前対策をとっているに違いない」と検討がつくでしょう。そのため税務署員も生前対策のひとつとして有名な贈与に関しては嗅覚を鋭くさせています。

申告漏れがばれるよくあるパターン

申告漏れがばれるよくあるパターン

贈与税の申告漏れがばれるパターンとしては、相続税が発生したタイミングなど、大きなお金が動いたときです。では具体的にどのような時に申告漏れが判明するのでしょうか?

税務署からの文書で判明する

振り込みや不動産の名義変更と異なり、現金をそのまま渡す贈与では申告漏れが判明しづらいと思われる方も少なくないでしょう。しかし、現実はそう甘くはなく、税務署員は常に財産を持つ者についての情報を張り巡らせており、突然税務調査が行われることもあります。

税務署が財産を把握する際に「お尋ね」と呼ばれる文書を財産を得た人に送ることがあり、その文書のなかでは支払い金額の調達方法など事細かに記載しなければなりません。このようにして税務署は、贈与税の申告が必要なやりとりが行われていないかお金の流れを観察しているのです。

相続税の調査過程で判明する

相続税の税務調査過程で贈与税の申告漏れが判明するケースがあります。被相続人の財産はもちろん、相続人に行き渡った財産に対しても調査が入るため、そこで怪しいと判断されたお金の動きがあれば税務署員は徹底的に調査します。そのため、税務調査の過程で贈与税の申告漏れが判明するパターンは少なくありません。

10年以上前の贈与に対して申告漏れと判断されることもある

贈与税の時効は悪質なもので7年とお伝えしましたが、なかには時効となっても課税されるケースもあります。たとえば父親が子に1,000万円の贈与を行ったものの、子は贈与税の申告を怠り、その10年後に父親が亡くなった場合です。

この場合は時効をとっくに過ぎているものの、万が一贈与契約書を作っていなかった際は税務署の調査により相続税の申告が必要となる可能性があります。とはいえ、贈与契約書を作成していれば時効が成立するのでしょうか?脱税目的であれば成立するとは限りません。

申告漏れが判明したらすみやかな申告を

申告漏れが判明したらすみやかな申告を

贈与税には時効があるものの、「時効があるからバレなければ大丈夫」といった気持ちで申告を逃れるのはリスキーです。どちらにせよ税務署の厳しい税務調査が入るため申告漏れが発覚する可能性が高いです。

その一方で110万円を超えた贈与には課税されることを知らず、いわゆる故意でない申告漏れというケースもあります。そのような場合にはペナルティが課され、なかには40%の重加算税が課税されるケースがあるため気をつけましょう。

もし、贈与税の申告が漏れていたことに気づいた場合は、所轄の税務署や信頼できる税理士に相談し、すみやかに申告しましょう。

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