「相続税の申告をしたけれど、税務調査が来るとしたらいつなのだろう」「一般家庭でも税務調査が入ることはあるのか」など、不安に思う方もいるのではないでしょうか。
相続税の税務調査は、必ず行われるものではありません。
ただし、税務調査の対象になった場合は、預貯金や家族名義の口座、生前贈与などが申告内容に正しく反映されているかを確認されます。
この記事では、相続税の税務調査が行われやすい時期、一般家庭でも対象になる可能性、申告後に不安があるときの対応について解説します。
・相続税の税務調査はいつ来る?

相続税の税務調査は、申告後1〜2年ほど経過した時期に連絡が来るケースが多いとされています。
特に、8月から11月ごろに連絡が来るケースが多いとされており、申告後すぐに連絡がないからといって、税務調査の対象ではないとは限りません。
税務署が相続税について更正・決定できる期間は、原則として法定申告期限から5年です。
不正がある場合は、7年まで可能性が残ります。
そのため、申告後しばらくは税務調査や税務署からの確認に備えて、申告書や財産資料を保管しておくことが大切です。
・相続税の税務調査は一般家庭にも来る?

結論から言うと、相続税を申告した家庭であれば、一般家庭でも税務調査の対象になり得ます。
平成27年1月1日以後の相続では、相続税の基礎控除額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に引き下げられました。
そのため、富裕層ではなく「不動産は自宅だけ」という家庭でも、相続税の申告が必要になるケースが増えています。
つまり、「一般家庭だから税務調査は関係ない」とは言い切れません。
・相続税の税務調査で指摘されやすいこと

それでは、相続税の税務調査ではどのような点を確認されやすいのでしょうか。
主なポイントを紹介します。
・預貯金口座の申告漏れ
被相続人名義の預貯金口座が申告から漏れている場合は、税務調査で指摘される可能性があります。
相続税の申告後に通帳や口座が新たに見つかった場合は、申告内容に含まれているかを確認しましょう。
税務署は、税務調査の過程で金融機関の取引状況を確認することがあります。
普段使っていない口座や、相続人が把握していなかった口座であっても、死亡日時点で残高があれば相続財産に含める必要があるため注意が必要です。
・タンス預金や死亡前後の大きな出金
自宅などに保管している現金、いわゆるタンス預金をきちんと申告しているかも、確認されやすいポイントです。
口座に入っていない現金であっても、死亡日時点で被相続人が持っていたものであれば申告対象となります。
また、死亡前後に大きな出金がある場合も注意が必要です。
死亡後に引き出した現金でも、使わずに残っていた分は手元現金として相続財産に含めなくてはいけません。
・名義預金
家族名義の口座であっても、実質的に被相続人の財産と判断される預金は、相続財産に含まれる可能性があります。これが、いわゆる名義預金です。
たとえば口座の名義が配偶者や子ども、孫だったとしても、資金の出どころが被相続人であり、通帳や印鑑を被相続人が管理していた場合などは注意が必要です。
・生前贈与の加算漏れ
生前贈与がある場合、税務調査では、相続税の申告に加算すべき贈与が漏れていないかを見られます。
暦年課税による贈与は、相続開始前の一定期間内のものについて、相続税の課税価格に加算する必要があります。
加算対象となる場合、贈与税がかかっていない110万円以下の贈与であっても、相続税の計算に含める必要があることに注意が必要です。
また、相続時精算課税を選択していた場合は、特定贈与者から取得した贈与財産が相続税の計算に含まれているかも見られやすいポイントです。
・土地評価や特例適用の誤り
土地を相続した場合は、評価額や特例の適用誤りにも注意が必要です。
土地の評価は、形状や接道状況、利用状況などによって変わります。
また、小規模宅地等の特例などを適用する場合は、対象となる土地や取得者、利用状況などの要件を満たしているかを確認しなければなりません。
本来適用できない特例を使っていた場合や、土地評価に誤りがある場合は、相続税額に影響することがあり、調査の対象となる場合があります。
・税務調査が不安なときに申告後できる対応

それでは、税務調査が不安な時に今からできることはあるのでしょう。
税務調査を避けるための特別な方法があるわけではありませんが、申告漏れや計算誤りに気付いた場合は、早めに対応することが大切です。
・申告書と財産を再確認する
まずは、相続税の申告書と、申告内容の根拠になった資料を見直しましょう。
預貯金口座、家族名義の口座、生前贈与、不動産評価、死亡前後の大きな出金などについて、申告内容が正しいかを確認します。
まとまった資金の動きがある場合は、そのお金が申告に含まれているか、すでに使っている場合は使途を説明できるかも見ておきましょう。
・誤りに気付いたら修正申告を検討する
申告に含めるべき財産が漏れていた場合や、税額を少なく申告していた場合は、修正申告を検討します。
税務署から調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告をした場合、過少申告加算税はかかりません。
ただし、納付が遅れた期間に応じて延滞税がかかる場合はあります。
・二次相続が近い場合は財産の動きを分かるようにしておく
二次相続が近い場合は、一次相続で配偶者が取得した財産の動きを確認できる状態にしておきましょう。
二次相続の申告では、一次相続で配偶者が取得した財産が、その後どのように動いたかも確認されます。
一次相続後に大きな出金や贈与、家族名義口座への移動がある場合は、通帳や取引明細、贈与契約書などで経緯を確認できる状態にしておくことが大切です。
・判断に迷う場合は税理士へ相談する
申告漏れがあるか判断できない場合や、修正申告が必要か迷う場合は、相続税に詳しい税理士へ相談しましょう。
税務署から連絡が来る前に相談しておくと、申告内容を見直し、必要な資料をそろえたうえで対応できます。
・まとめ:相続税の税務調査が不安なときは申告内容を確認しよう
相続税の税務調査は、申告後1〜2年ほど経過した時期に連絡が来るケースが多いとされています。
申告後すぐに連絡がない場合でも、法定申告期限から原則5年、不正がある場合は7年まで更正・決定の可能性が残ります。
税務調査は富裕層だけが対象になるものではありません。
相続税を申告した家庭であれば、財産額が特別に大きくない場合でも対象になり得ます。
申告内容に不安がある場合は、相続税に詳しい税理士へ相談し、修正申告が必要か確認しましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については、税理士などの専門家にご相談ください。


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