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少額減価償却資産の特例を解説|令和8年度税制改正で何が変わる?

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令和8年度税制改正大綱では、中小企業者等向けの「少額減価償却資産の特例」について、即時償却の対象となる取得価額の基準が現行の30万円未満から40万円未満へ引き上げられる見直しが示されています。

設備投資などのしやすさに関わる改正ですが、年間上限や対象者要件など、確認すべきポイントもあります。

本記事では、本記事では、まず制度の基本を整理したうえで、改正点と注意点を解説します。

<注意>改正は「成立」前の段階です(令和8年2月現在)

本記事で解説した令和8年税制改正の内容は、令和7年(2025年)12月に政府が発表した「税制改正大綱」に基づいています。

現在は国会で審議されている段階であり、最終的な施行には改正法の成立が必要です

1.少額減価償却資産の特例とは?

1-1.制度の概要

少額減価償却資産の特例とは、正式には「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」といいます。

中小企業や個人事業者などが、取得価額30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)を取得した場合に、一定の要件のもとに取得した年に全額を損金として計上できる制度です。

この特例は、平成18年4月1日取得分から続いている制度ですが、令和8年度税制改正大綱では、対象資産の取得価額が「30万円未満」から「40万円未満」へ引き上げられる見通しです。

引き上げと同時に適用要件の見直しも示されているため、合わせて確認しておく必要があるでしょう。

1-2.活用のメリット

少額減価償却資産の特例を使うメリットは、主に2つです。

1つ目は、取得した年にまとめて経費化できるため、利益を圧縮しやすいことです。

2つ目は、少額資産の償却管理を簡略化できることです。

少額の備品・機器を毎年複数購入する事業者ほど、使いやすさを感じやすいでしょう。

1-3.一括償却資産との違い

少額減価償却資産と混同しやすいものに、一括償却資産があります。

少額減価償却資産と一括償却資産の違いを表にまとめたものが、以下です。

少額減価償却資産 一括償却資産
対象 要件を満たす中小企業者のみ 全ての企業
対象となる固定資産の取得価額 30万円未満

(※改正後40万円未満)

10万円以上20万円未満
上限金額 年間300万円以内 なし
償却方法 全額をその年の損金に算入 3年間で均等償却
固定資産税(償却資産税)の課税対象か 課税対象になる 課税対象にならない
適用期限 令和8年改正で

令和11年(2029年)3月31日まで延長予定

なし

 

比較表で見たとおり、少額減価償却資産の特例は「購入した年に全額を費用計上できる」という点が大きなメリットです。

一方で、注意したいのが固定資産税(償却資産税)の扱いです。

少額減価償却資産の特例を使って全額を損金算入した資産は、償却資産税の申告対象になる点には注意が必要です。

また、少額減価償却資産の特例には「年間合計300万円まで」という上限があります。そのため、ほかの設備・備品の購入も含めて年間合計が300万円を超えそうな場合は、対象資産の一部について一括償却資産や通常の減価償却を選ぶ、という選択も検討しましょう

2.令和8年度税制改正で少額減価償却資産の特例はどう変わる?

主な改正点を表にまとめたものです。

項目 現行(~令和8年3月末) 改正案(令和8年4月以降)
対象となる資産 取得価額 30万円未満 取得価額 40万円未満
適用対象者 常時使用する従業員数500人以下(※)の中小企業者等・個人事業主 常時使用する従業員数400人以下の中小企業者等・個人事業主
合計限度額 年間合計 300万円まで 年間合計 300万円まで
適用期限 令和8年(2026年)3月31日まで 令和11年(2029年)3月31日まで延長

(※)出資金等が1億円超の組合等は300人以下

2-1. 取得価額の基準は30万円未満から40万円未満になる

令和8年度税制改正大綱では、中小企業者等の少額減価償却資産の特例について、対象となる減価償却資産の取得価額を30万円未満から40万円未満へ引き上げる見直しが示されています。

これにより、これまで特例の対象外だった「30万円以上40万円未満」の資産も、要件を満たせば対象になる見込みです。

物価上昇の影響で、パソコン周辺機器や業務用備品なども価格が上昇傾向にあります。

今回の見直しは、そうした情勢を踏まえたものであると言えるでしょう。

2-2. 適用期限は3年延長される

少額減価償却資産の特例は、もともと時限措置です。

国税庁の現行ルールでは、平成18年4月1日から令和8年3月31日までの取得等が対象とされていました。

令和8年度税制改正大綱では、この特例について、適用期限を3年延長し、令和11年(2029年)3月31日までとする方針です。

2-3. 対象法人の要件見直しに注意する

今回の改正案では、対象法人の範囲にも見直しがあります。

大綱では、対象となる法人から「常時使用する従業員の数が400人を超える法人」を除外するとされています。

つまり、法人については、現行より対象範囲が狭くなる方向の見直しです。

自社が要件を満たしているか、事前に確認するようにしましょう。

2-4. 適用時期は令和8年4月1日以後となる

現行の適用期限は、令和8年3月31日までです。

改正後の適用期限が令和11年3月31日までとされているため、法案どおり成立すれば、令和8年4月1日以後に取得等して事業の用に供した資産から適用される想定です。

3.少額減価償却資産の特例の注意点

 3-1. 「40万円未満」なので40万円ちょうどは対象外である

対象となるのは「40万円未満」の資産です。したがって、取得価額が40万円ちょうどの資産は対象にならないことに注意が必要です。

 3-2. 年間合計300万円の上限がある

少額減価償却資産の特例は、1件ごとの金額要件だけでなく、その事業年度の合計額が300万円までという上限があります。

上限を超えた場合は、全額を特例で処理できるわけではなく、300万円に達するまでの部分が限度になります。

なお、事業年度が1年に満たない場合は、300万円を月数按分して計算する取扱いです。期中設立の法人などは、この点も見落とさないように注意が必要です。

 3-3. 青色申告・申告書類の記載が必要

少額減価償却資産の特例は、個人事業主・法人のいずれも「青色申告」が前提です。また、確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7))を添付して申告することが必要となります。

 3-4. 重複適用できない特例がある

租税特別措置法上の特別償却、税額控除、圧縮記帳と重複適用はできません。

また、取得価額が10万円未満のもの、もしくは一括償却資産の損金算入制度の適用を受けるものについてもこの特例の適用はありませんので、注意しましょう。

 3-5. 主要事業を除く貸付け用資産は対象外である

少額減価償却資産の特例は、事業に必要な資産を取得した場合に使える制度です。

したがって、事業と関係のない物を購入しても、特例の対象にはなりません。

また、貸付け用の資産についても注意が必要です。

主要な事業として行う貸付けを除き、貸付け目的で取得した減価償却資産は、少額減価償却資産の特例の対象外とされています。 

4.まとめ

本記事では、少額減価償却資産の特例について、制度の概要と令和8年度税制改正大綱で示された見直し内容、実務上の注意点を解説しました。

少額減価償却資産の特例は、取得した年に全額を費用(損金)計上できるため、利益を圧縮しやすく、少額資産の管理負担も軽減しやすい便利な制度です。今回の改正案では、対象となる取得価額の基準が30万円未満から40万円未満へ引き上げられる方向となっており、これまでより活用しやすくなることが期待されます。

一方で、対象法人の要件見直しなど、適用範囲が厳しくなる点にも注意が必要です。実際に適用を検討する際は自社が要件を満たすかを、事前に確認しておきましょう。

なお、本記事の改正内容は、令和8年度税制改正大綱に基づくものです。現時点では法案成立前の段階であるため、最終的な適用要件や適用時期は、成立後の法令・公表資料で確認するようにしてください。

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