個人事業主が正しい申告や納税を行うためには、個人事業主が納めるべき税金についての理解を深める必要があります。発生する税金の種類はもちろん、納税義務が発生する条件や納付方法、納付期日などの確認も必須です。
今回は個人事業主が納める税金について詳しく解説します。各税金について申告の必要性や計算方法も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
個人事業主にかかる主な税金①所得税
所得税とは個人の所得に対して課せられる税金で国税の一種です。事業活動によって一定以上の所得が発生している場合は所得税の申告および納付義務が発生します。
計算方法
所得税の計算の流れは大きく4つの工程に分けられます。
- 収入から必要経費を差し引いた所得金額を計算する
- 所得金額から所得控除等を差し引き、課税所得金額を計算する
- 課税所得金額に税率を乗じて所得税額を計算する
- 所得税額から源泉徴収税額や税額控除を差し引いて、申告納税額を計算する
所得税は超過累進課税制度を採用しており、所得が一定額を超えると、より高い税率が適用される仕組みです。
確定申告の必要性
所得税は納税者自身による確定申告が必要です。確定申告期間は原則として翌年の2月16日から3月15日、土日祝の場合は翌平日となります。ただし、還付申告の場合は2月16日よりも前に確定申告書の提出が可能です。
納付期日・納付方法
所得税の納付期日は、確定申告期日と同じく3月15日です。土日祝に被る場合は翌平日となります。
納付方法として以下の7つが挙げられます。
- 口座振替
- ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)
- インターネットバンキング納付
- クレジットカード納付
- スマホアプリ納付
- コンビニ納付
- 現金納付(納付書を利用して窓口で納付)
個人事業主にかかる主な税金②住民税
住民税は都道府県民税と市区町村税の総称で、居住地のある自治体に納付する地方税です。
計算方法
住民税は所得割と均等割によって構成されています。
所得割は所得額に一定の税率を乗じて計算する部分です。均等割は所得額に関係なく、住民税の納付義務があるすべての人に一律で課されます。税率は自治体によって異なる可能性があるため公式の案内等をご確認ください。
所得割と均等割の合計額がその年の住民税額となります。
確定申告の必要性
個人事業主で住民税の申告が必要になるケースとして、以下の例が挙げられます。
- 所得が1円以上発生しているが、所得税の確定申告を行わない
- 住民税の減免制度の適用を受ける
所得税の確定申告を行う場合は原則として住民税の申告をする必要がありません。
納付期日・納付方法
住民税の納付方法には以下の2つがあります。
- 特別徴収:毎月の給与から天引きされ、勤務先が代わりに納付する
- 普通徴収:納付証を使い納税者自身が納付する
個人事業主の納付方法は原則として普通徴収となります。普通徴収の納付期日は以下の通りです。
- 第1期分:6月末
- 第2期分:8月末
- 第3期分:10月末
- 第4期分:翌年1月末
個人事業主にかかる主な税金③消費税
消費税は商品の販売やサービスの提供に課される国税です。消費者が負担し事業者が納付する仕組みであり、負担者と納付者が異なります。
計算方法
消費税の計算方法には以下の2つがあります。
- 原則課税
売上に係る消費税額(売上税額)から仕入れに係る消費税額(仕入税額)を差し引いた額を納付額とする - 簡易課税
納付額を「売上税額-売上税額 × 事業区分ごとに定められたみなし仕入率」で求める
原則課税と簡易課税の違いやそれぞれのメリット・デメリットは以下の記事をご覧ください。
確定申告の必要性
消費税は確定申告が必要です。個人事業主の消費税の確定申告期日は翌年の3月31日となります。
納付期日・納付方法
消費税の納付期日は確定申告期日と同じく3月31日です。納付方法は所得税と同じく以下の7つから選べます。
- 口座振替
- ダイレクト納付
- インターネットバンキング納付
- クレジットカード納付
- スマホアプリ納付
- コンビニ納付
- 現金納付
個人事業主にかかる主な税金④個人事業税
個人事業税とは個人事業のうち、地方税法等で定められた事業(法定業種)に課される地方税です。
計算方法
個人事業税は課税所得に税率を乗じて計算します。税率は3〜5%で、業種ごとに定められています。
確定申告の必要性
所得税の確定申告や住民税の申告をした場合は、個人事業税の申告を行う必要はありません。
納付期日・納付方法
納付期日は自治体によって異なる可能性がありますが、原則として8月末と11月末です。自治体から届く納付書を使って納付します。
個人事業主にかかる主な税金⑤固定資産税
固定資産税とは土地・家屋といった不動産および償却資産に課せられる地方税です。
計算方法
固定資産税の計算式は以下の通りです。
固定資産税=固定資産税課税標準額×税率
税率は原則として1.4%ですが、異なる税率を設定している自治体もあります。
固定資産税課税標準額は固定資産税評価額を基準としつつ、軽減措置などを考慮した上で決定されます。評価額は時価の70%程度になるのが一般的です。
確定申告の必要性
固定資産税の対象となる資産のうち、土地や建物については申告の必要がありません。各自治体が所有の有無や対象となる資産を確認できるためです。
一方で、償却資産は自治体による確認ができないため申告する必要があります。償却資産の申告期限は1月31日です。
納付期日・納付方法
固定資産税の納付期日は自治体によって異なります。一般的なスケジュールは以下の通りです。
- 第1期分納付期限:4月~6月
- 第2期分納付期限:7月~9月
- 第3期分納付期限:11月~12月
- 第4期分納付期限:翌年1月~2月
納付期日や金額は自治体から届く納付書で確認可能です。
納付方法として以下の6種類が挙げられます。
- 現金納付
- 電子マネー
- 口座振替
- ペイジー
- スマホアプリ
- クレジットカード
ただし、選択できる納付方法は自治体によって異なります。必ず居住地のある自治体の案内をご確認ください。
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