子世代の方が相続への意識が高めの傾向に。相続対策でまず話し合うべきポイントとは?

相続

親世代と子世代では相続への意識が違っているとの調査結果があるようです。相続をする際に「こんなはずではなかった…!」というすれ違いが起きないよう、あらかじめ親子で話し合っておくことが大切でしょう。今回は相続でおさえておきたいポイントについて解説いたします。

親子間で相続での意識の差が・・・


マネックス証券が「人生100年時代の財産管理」をテーマに定期的に開催している座談会によると、資産承継や相続、介護において親子それぞれの世代で考え方が異なるようです。(2023年4月21日マネクリ「資産承継・相続への意識、親世代・子世代で大きな差」より)

同社が取ったアンケートによると、資産承継ではシニア世代よりも子世代の方が現金化に積極的な傾向にあることが分かりました。早めの現金化を希望している理由としては有価証券や株式、不動産を相続した際に管理が面倒だったことが挙げられています。一方で現金化を希望しないシニア世代の意見としては、投資が楽しいので今後も続けたいという理由や、不動産賃貸が子供にできるかどうか不安といった理由が挙げられています。

相続対策については、シニア世代の半数近くが財産目録を作成していたり対策を取っているものの、全く対策を取っていない層が多いようです。その一方で子世代からは今のうちに相続対策のために具体的な財産目録の作成や、不動産の売却をして欲しいという意見がありました。

このアンケートからは、シニア世代よりも子世代の方が相続に対して積極的で何らかの相続対策を生前から行って欲しいと考えていることが分かります。一方でシニア世代からは「子供がちゃんと株式や不動産を相続して運用できるのか不安」というような、子世代に対する不安が多く見受けられます。

シニア世代にとっては自身の死後に保有する株式や不動産を子供がきちんと運用してくれるかなど、相続において不安がつきまとうのは当然のことかと思います。しかし、早いうちから子と話し合って相続について決めておくことが、それらの不安が軽くなるはずです。では、相続対策として事前に親子で話し合っておくべき最低限のポイントとはどんなことでしょうか?

親子で話し合うポイント1:被相続人の資産の現状を把握する


相続対策としてまず親子間でしっかり把握しなければならないポイントとしては、現時点での被相続人の資産です。現金や不動産、株式、預貯金といった財産が相続の対象となります。

なかには財産状況を教えたくないと考えているシニア世代もいるかと思いますが、もし、資産状況をお互いに共有しないままで相続が開始してしまった場合、相続人が初めて知る財産があったりすることで戸惑ってしまう可能性があります。相続税の申告期日は相続開始日から10ヶ月以内ですので、相続人の仕事などを考えるとあまり時間がありません。また、財産状況を共有していない場合に困ることとして、被相続人の死後、銀行口座が凍結してしまうことです。それを防ぐためにも親子間で事前に財産状況を確認するだけでなく、「どの銀行にどれだけあるか」「銀行の担当者の名前や口座番号」などの情報もお互いに共有しておくことが大切です。

また、お互いの齟齬がないように情報を管理しておくことや、税理士などの頼れる第三者を事前に見つけておくことも大切でしょう。

親子で話し合うポイント2:遺産分散は争族の原因になることも


相続において相続人同士がトラブルとなってしまうことを「争族」といいます。事前に対策をとっていない相続は、相続人の精神的に負担をかけてしまいます。なかでも遺産の分割については被相続人の希望があり、相続人全員が等しく受け取ることができない場合があるため、生前にお互いの意向を話し合う必要があります。

遺言制度があるといえ、相続が開始した時に初めて相続人に分割が知らされるのは、相続人にとっても良いことではありません。もしかすると相続人が知らない第三者に遺産が相続されることを初めて知るケースもあるかもしれません。そういったことを防ぐためにも、まずはどのような理由で被相続人が遺産分割を希望しているのか、生前に意向を話し合いましょう。

なかには現金だけでなく株式や不動産などが相続の対象となる場合があります。全ての財産をリストにして、時には税理士といった専門家を交えながらも把握しておく必要があるでしょう。

相続人が元気なうちに早めの相続対策を話し合おう


先に述べたアンケートによれば親子間で相続について意識が違うことが分かりました。ひょっとするとこのコラムを読まれている方のご自身の親御さんや、もしくは相続について悩まれているシニア世代の方も相続対策をまだ考えていないかもしれません。今は健在であっても認知症になってしまい、話し合いができない状況になる前に親子間で相続対策を始めることをおすすめします。

「子供に相続を任せられるか不安」「お金の話はあまりしたくない」という考えが頭の中をよぎって実際に話し合いに踏み出せない方もいらっしゃるのではないでしょうか?まずは、ご自身の友人や知り合いに相続の体験談を聞いてみたり、そのことを親御さんやお子さんに話して相続についての話し合いへのハードルを下げてみましょう。

事前に相続対策の話し合いをすることで相続人同士のトラブルを防ぐだけでなく、相続開始後から相続税申告までのわずか10ヶ月での相続人の対応がスムーズに進む道標にもなります。スムーズな相続のためにも、生前より税理士などの第三者の専門家に相談しておくとなお良いでしょう。

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