法人に余剰資金がある場合、預貯金のまま保有するだけでなく、株式や債券、投資信託などで運用することも選択肢の一つです。
一方で、「どのような資産に、どのくらいの割合で配分すればよいのか」と、ポートフォリオの組み方に悩む経営者もいるでしょう。
法人の資産運用では、金融商品のリスクやリターンだけでなく、本業の状況なども踏まえてポートフォリオを考えることが重要です。
本記事では、法人が資産運用のポートフォリオを組む際の考え方や、資産配分の割合を決めるポイントを解説します。
・ 法人の資産運用におけるポートフォリオとは
ポートフォリオとは、株式や債券、投資信託など、保有する金融資産の組み合わせや配分を指します。
資産ごとに期待できるリターンやリスク、値動きの傾向は異なります。
そのため、どの資産をどのくらいの割合で組み合わせるかによって、ポートフォリオ全体のリスクとリターンも変わります。
法人の資産運用では、「株式〇%、債券〇%」のように、すべての会社に共通する適切な割合があるわけではありません。
事業内容や許容できるリスクなどによって、適した資産配分は異なります。
ただし、ポートフォリオの割合を決める際には、いくつか基本となる考え方があります。
まずは、法人ならではのポイントとして、本業との関係から確認していきましょう。
なお、法人の資産運用は、運転資金や納税資金、設備投資資金などを確保したうえで、当面使う予定のない余剰資金で行うことが基本です。
運用に回せる余剰資金の考え方については、「法人の余剰資金はいくら運用に回せる?判断方法と活用方法を解説」で詳しく解説しています。
・法人のポートフォリオは本業も含めて考える
法人が資産運用のポートフォリオを考える際は、金融資産だけでなく、本業でどのようなリスクを負っているかも確認することが重要です。
法人は、事業活動そのものを通じて、景気変動や為替変動、原材料価格の上昇、特定の業界や取引先への依存など、さまざまなリスクを抱えています。
たとえば、景気変動によって売上や利益が大きく変動しやすい会社が、金融資産でも本業と同じ要因の影響を受けやすい資産に偏っていると、景気悪化時に本業と運用資産の両方が影響を受けてしまう可能性があります。
また、輸出入が多く為替変動の影響を受けやすい会社では、金融資産の通貨構成も含めて考える必要があるでしょう。
そのため、法人のポートフォリオは本業を含めた会社全体のリスクを踏まえて組むことが大切です。
・ 法人の資産運用ポートフォリオの割合を決める考え方
自社に合った資産配分を考えるには、リスクとリターンだけでなく、換金性や資産ごとの値動き、本業とのバランスなどを踏まえて判断する必要があります。
ここでは、ポートフォリオの割合を決める際の主な考え方を解説します。
・ 許容できるリスクから割合を考える
金融商品は、種類によって期待できるリターンとリスクが異なります。
一般に、高いリターンが期待できる金融商品ほど、価格変動などのリスクも大きくなる傾向があります。
そのため、ポートフォリオの割合を決める際は、収益性だけでなく、会社としてどの程度の価格変動や損失まで許容できるかを考えることが重要です。
自社の財務状況や今後の資金需要を踏まえて資産配分を検討しましょう。
・換金性も考慮して割合を決める
運用は余剰資金で行うのが基本ですが、急な支出や資金繰りの変化によって、現金が必要になることもあるでしょう。
そのため、ポートフォリオを組む際は、必要なときに現金化できるかという換金性も考慮することが重要です。
金融商品によっては、売却や解約に時間がかかったり、中途解約によって不利益が生じたりするものもあります。
運用資産のすべてを換金性の低いものに偏らせず、必要に応じて資金化できるよう割合を考えましょう。
・リスクが偏らないよう資産を組み合わせる
ポートフォリオを組む際は、特定の資産に偏らず、値動きの異なる資産を組み合わせることが重要です。
たとえば、株式と債券は異なる値動きをする傾向があるため、複数の資産に分散することで、ポートフォリオ全体の価格変動を抑える効果が期待できます。
参考として、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、国内債券・外国債券・国内株式・外国株式をそれぞれ25%とする基本ポートフォリオを設定しています。
この割合が一般の法人にも適しているという意味ではありません。
GPIFでは、必要な運用利回りや各資産のリスク、資産間の相関などを踏まえて基本ポートフォリオを策定しています。
重要なのは25%という割合そのものではなく、性質の異なる資産を組み合わせてリスクを分散し、運用目的に応じて割合を決めるという考え方です。
法人の場合は、金融資産同士の分散だけでなく、本業ですでに抱えているリスクとの重なりにも注意が必要です。
本業で為替変動などの影響を大きく受けている場合は、金融資産でも同じリスクに偏りすぎていないか確認し、会社全体で資産配分を考えましょう。
・法人の資産運用ポートフォリオは定期的に見直す
ポートフォリオは、一度決めたら終わりではありません。
資産価格の変動によって当初の配分からずれたり、会社の状況が変化したりした場合は、資産配分を再検討します。
たとえば、業績やキャッシュフロー、借入金の返済、設備投資の予定などが変われば、許容できるリスクや必要な換金性も変わることがあります。
定期的に資産配分を確認するとともに、本業に大きな変化があった際にもポートフォリオを見直しましょう。
・まとめ:自社に合ったポートフォリオで資産運用を行おう
法人の資産運用ポートフォリオには、すべての会社に共通する適切な割合があるわけではありません。
許容できるリスクや換金性、資産同士の値動きに加えて、法人では本業で抱えているリスクも踏まえて資産配分を考えることが重要です。
自社に適した資産配分や金融商品の選び方に迷う場合は、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)など、資産運用の専門家に相談する方法もあります。
ただし、法人の資産運用では、本業の資金繰りや財務状況、税務面もあわせて考える必要があります。
法人の資産運用に詳しい税理士に相談し、必要に応じてIFAなどの専門家とも連携しながら検討するとよいでしょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の判断については、専門家へご相談ください。


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