インボイス制度が不動産賃貸業に与える影響とは?対策についても解説

不動産

2023年10月から導入されたインボイス制度は、不動産賃貸業にも大きな影響を与えます。本記事では、インボイス制度が不動産賃貸業に与える影響について詳しく解説します。本記事を参考にインボイス制度対策に役立ててください。

インボイス制度の概要

インボイス制度が不動産賃貸業に与える影響を考える前に、インボイス制度についても理解しておきましょう。

インボイス制度とは?

インボイス制度は、2023年10月1日に導入された消費税の仕入税額控除の新方式です。課税事業者のメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 仕入税額控除の計算がより正確に
  • 適格請求書発行事業者からの購入は、仕入税額控除の要件を満たしやすくなる
  • 適格請求書発行事業者からの購入でなければ、仕入税額控除を受けられない場合がある
  • 事務処理の負担が増える

インボイス制度について詳しく知りたい方は、国税庁のホームページを参照してください。

不動産賃貸業におけるインボイス制度3つの影響

相続の相談はどこでできるのか?

インボイス制度が不動産賃貸業に与える影響は、主に以下の3つです。

  • 課税対象となる収入
  • テナントの収益性が低下する可能
  • 法人化による節税効果の低下

それぞれ説明します。

課税対象となる収入

不動産賃貸業において、課税対象となる収入は以下のとおりです。

事業用物件の家賃
  • テナントが課税事業者の場合
  • 事務所、店舗、倉庫など
  • 月極駐車場(一定規模以上)
貸しビル・貸し工場の家賃
  • 建物を含む土地の賃貸借
その他課税対象となる収入
  • 太陽光発電の収入
  • アンテナ基地局の収入
  • 賃貸物件の売却収入

非課税となる収入には以下のようなものが挙げられます。

  • 住宅用物件の家賃
  • 土地の賃貸借(建物を含まない)

課税対象かどうかを判断するためには、国税庁のホームページなどで最新情報を確認しましょう。

テナントの収益性が低下する可能性

テナントの収益性が低下すると、以下のような影響が考えられます。

  • 賃料の減額要求
  • 解約率の増加
  • 空室率の増加

法人化による節税効果の低下

インボイス制度導入により、不動産賃貸業における法人化の節税効果は低下する可能性があります。従来、不動産賃貸業を法人化することで、所得税よりも税率が低い法人税を選択でき、節税効果を得られました。しかし、インボイス制度導入後は、仕入税額控除を受けるためには取引先が適格請求書発行事業者である必要があり、免税事業者からの仕入は控除対象外となります。多くの個人事業主は免税事業者であるため、法人化しても仕入税額控除の恩恵を受けられるケースが減ります。

インボイス制度への対策

不動産投資で節税を目指す際の注意点

インボイス制度への対策として主に以下の4つが挙げられます。

  • 課税事業者登録を検討する
  • 取引先との調整
  • 請求書等への記載事項の確認
  • 経理処理の見直し

それぞれ説明します。

課税事業者登録を検討する

課税事業者登録するメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
  • 仕入税額控除を受けられる
  • テナントにインボイスを発行できる
  • 消費税の還付を受けられる
  • 消費税の納付義務が発生する
  • 課税売上と非課税売上を区分して管理する必要がある
  • 確定申告の手間が増える

詳細に知りたい場合は、国税庁ホームページを参照したり、税務署や税理士に相談したりするのもいいでしょう。

取引先との調整

インボイス制度導入により、不動産賃貸業者は取引先との調整が必要です。具体的には、以下の点について確認・調整する必要があります。

項目 確認するポイント
課税事業者登録の確認 取引先が課税事業者登録をしているか確認する必要があります。
インボイスの発行依頼 取引先に対して、インボイスの発行を依頼する必要があります。
家賃の見直し テナントの負担が増加する場合は、家賃の見直しを検討しましょう。
契約書の見直し インボイス制度に対応するために、契約書の見直しが必要になる場合があります。

取引先と情報共有し、適切な対応を検討しましょう。

請求書等への記載事項の確認

インボイスには、通常の請求書に加えて、以下の項目の記載が必要です。

記載項目 内容
登録番号 適格請求書発行事業者の番号
適用税率 課税標準額に適用する税率
税率ごとに区分した消費税額 各税率ごとに計算した消費税額

正しく記載されていない請求書等は、仕入税額控除を受けるための書類として認められない可能性があります。

経理処理の見直し

インボイス制度導入によって、不動産賃貸業における経理処理も大きく変化します。

確認項目 確認する点
適格請求書発行事業者登録の有無 取引先ごとに「適格請求書(インボイス)」の発行・保存を徹底しましょう。
帳簿書類の保存 インボイス制度では保存義務のある書類が増えます。保存方法や期間についても確認しておきましょう。
課税売上と非課税売上の区分 家賃収入は非課税売上ですが、駐車場の貸付料や広告スペースの貸付料など、課税売上となる取引もあります。
経理ソフトの対応状況 経理ソフトがインボイス制度に対応しているかどうかを確認しましょう。

インボイス制度は複雑な制度であるため、不安な場合は税理士に相談することをおすすめします。

まとめ

インボイス制度は不動産賃貸業に大きな影響を与えます。インボイス制度は2023年10月1日から導入されているため、知らなければ損をする可能性があります。インボイス制度が導入されることによる影響を理解した上で、必要な対策を講じることが大切です。インボイス制度についてより詳しく知りたい方は国税庁ホームページのインボイスコールセンターで確認もできますし、各国税局に電話相談センターも設置されていますため、相談してみてください。

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