AI時代の税理士に必要なスキルは?創造性や感受性が求められる

税務情報

2023年11月29日の日本経済新聞「企業の税務調査でAI駆使 近年最多の追徴3500億円」という記事にて、企業の税務調査でAIを使うことで効率よく疑いのある法人を炙り出すことができていると報道されました。これまでの税務調査では人の労力や勘で判断していたところが、AIの技術によって簡単に追徴できるようになりました。そのおかげで、より細かな税務調査が必要な複雑な手口にかける人員や時間を確保できるようになったのです。AIの登場によってなくなると予想されている仕事は沢山あるものの、税理士の業務の一部も同様です。ChatGPTの登場によってAIが急速に普及するなかで、これからの税理士のあり方はどう変わっていくのでしょうか?

AIでなくなる税理士の業務・なくならない業務とは?

不動産選びのポイント

先ほど紹介した記事では、過去の追徴データをAIに学習させることで疑いのある法人を検出し、実地調査よりも効率良く追徴対象を探すことができるようになりました。税務調査でAIを利用すると発表したのは2017年6月で、実際に開始されたのは2021年度です。そして、2022年度は2021年度の40.5%増の追徴税額とのことでした。コロナ禍の影響が落ち着き、企業活動も再び元に戻ったということが背景にあったといえど、AIの導入によって税務調査が非常に捗っていることがよくわかる数字といえます。

税務調査においては過去の事例を学習させれば、類似事例を検出させることで疑いのある法人が判明するのですから、これまでその作業にかけていた時間や人員を大幅に削減できます。また、より複雑な節税手段(海外への税逃れなど)にかける時間や人員を確保できるのですから、今後もさらにAIの精度の向上に期待できるでしょう。

そして、AIの登場によって税務調査だけでなく普段の税理士の仕事にも影響が生じるでしょう。AIが得意なことは、膨大なデータから一定のルールに従ってデータを抽出し、解析することなので、決められたルールで作成する決算書の作成や記帳などはこれからAIに取って変わる業務となることでしょう。AIの精度はどんどん高まってくるので、今後もAIがこなせる仕事は増えてきます。税理士にとっては雑務が減り、AIにはできない難しい業務にさける時間が増えるのです。

では、一体AIにできない仕事はどういったことでしょうか?AIが苦手とするのは、数少ないデータから今後の展開を予測することや、創造性、複雑なコミュニケーションです。いわば人間の感受性や創造性は、AIに取って変わることができません。例えば、税理士の業務でいえば、企業の経営コンサルティング業務などはAIが苦手とする領域といえるでしょう。

 

AI時代の税理士に必要とされる能力とは何か?

個人事業主も税務調査の対象になる

AIが当たり前のようになるこれからの時代には、「ただ単に普段の業務をやる」といったスタンスは通用しなくなるのではないでしょうか?「当たり前」の精度がAIによって上がる反面で、税理士である人間にしかできないことを増やしていくことが必要です。それは例えば、下記のような能力だと考えられます。

コミュニケーション能力

まずは、コミュニケーション能力といえます。これまでの時代でも大切にされてきた能力ですが、AIが台頭するこれからの時代は、「お客様が何を求めているか的確に把握すること」や「お客様が不安にならないよう寄り添う充実したホスピタリティ」といった感受性の有無が他の税理士との差別化に必要なのだと思います。どうしても専門性のある職業柄、お客様より知識が多い場合のほうが圧倒的に多いでしょう。お客様の目線に立った分かりやすい説明ができたり、臨機応変な対応が求められます。

専門性

オールラウンダーももちろんのことながら重宝されますが、専門性を深めた税理士が注目されるのではないでしょうか。また、他のジャンルと税理士での専門ジャンルを掛け合わせた税理士もAI時代に求められる税理士でしょう。例えば、YouTuberに特化した税理士であったり、マーケティングにも詳しく、税理士事務所のマーケティングサポートも行える税理士だったりと、プラスαを提供できる強みがあると良いのかもしれません。

マーケティングスキル

せっかくの強みがあったとしても、受け止めてくれる層に届かなくては意味がありません。自身の強みを知り、ターゲットにアプローチできるマーケティングスキルがこれからの税理士には必要です。確かに、普段の業務をこなす中ではどうしてもマーケティングを後回しにしがちですが、外部でマーケターの手助けを得るなど、売り出し方の研究にも余念がない税理士もAI時代に注目されるでしょう。「税理士=お堅い仕事」といったイメージを覆すような、服装が自由で、派手な髪型の税理士も登場してくるかもしれません。

AIにできることであっても基本的な知識は必要

税務調査が入りやすい企業の特徴

AIの登場によって、これまで人間が行っていた決算書の作成や記帳といった業務は無くなっていくでしょう。しかし、AIは膨大なデータから新しいデータを作成することが得意であるものの、その分野に関する基礎的な知識は持っていません。例えば決算書作成にあたっては簿記の知識は持ち合わせていないのです。そのため、例外的な対応ができないため、AIが作った新しいデータをチェックする必要があります。

AIが進歩するといえ、基本的な知識をおざなりにしてAIにできない分野だけを磨いていくのは、土台がしっかりしていない家と同様です。より便利になる時代といっても、税理士としての基本的な素養やスキル、知識を磨いていくことが必要といえます。

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