会社設立日は登記事項ではありませんが、登記簿に必ず記載される情報です。会社設立後の変更が不可能なため、こだわって決めたいと考える人も多くみられます。
会社設立日の決め方は、イメージを重視する方法と実務を考慮する方法の2種類に大別できます。それぞれの考え方を知ることで、自社の設立日をどのように決めたいか希望の明確化がしやすくなるでしょう。
今回は会社設立日の決め方について解説します。
そもそも会社設立日とは
会社設立日として登録されるのは、法務局への登記申請を行なった日です。登記申請日とみなされるタイミングは登記申請の方法によって以下のように異なります。
- 窓口で直接申請した場合:申請手続きをした日
- オンラインで申請した場合:オンライン申請を行なった日
- 郵送で申請した場合:法務局に申請書類が到着した日
郵送で申請した場合、郵送手続きをした日ではなく到着日が会社設立日となります。タイミングによっては理想としていた会社設立日とズレてしまう恐れがあるため注意しましょう。
創業日・創立日との違い
創業日と創立日は、いずれも会社設立日とは別の日を指す言葉です。
創業日は事業を開始した日を意味します。「事業開始日」と表現する場面も多いです。個人事業主・会社・その他の法人といった形態に関係なく使用されます。
創立日は組織として事業を開始した日を意味する言葉です。個人事業主として事業を開始した場合には「創立日」という言葉は使用できません。
登記完了日との違い
会社設立における登記完了日とは、文字通り登記手続きが完了した日です。法務局で登記申請書類をチェックし、謄本作成が完了したタイミングが登記完了日となります。
登記申請から登記完了までにかかる期間の目安は1週間程度です。法務局で登記事項証明書や印鑑証明書などを取得できるのは登記完了後となります。
会社設立日にできない日
会社設立日として登録されるのは法務局への登記申請を行なった日と紹介しました。したがって登記申請ができない日、すなわち法務局の休業日は会社設立日にできません。土日祝および年末年始が該当します。
会社設立日の決め方としてよくあるパターン
会社設立日は好きなタイミングにできるからこそ、こだわって決めようと考える人が多いです。この章では会社設立日の決め方としてよくあるパターンを3つ紹介します。
縁起の良い日
会社設立日の決め方として特に多いパターンが、縁起の良い日を選ぶ方法です。
縁起の良い日の代表例として大安が挙げられます。大安は六曜の中で最も吉日とされており、何をするにも良い日といわれています。会社設立に限らず、特別な日や新しいことを始める日として大安を選ぶケースは多いです。
縁起の良い日として、他にも以下の例が挙げられます。
- 天赦日
日本の暦において最上の吉日とされる日です。「天が万物の罪を許す日」とされており、何をしても上手くいくと考えられています - 一粒万倍日
「一粒の籾(もみ)が万倍にも実る」という意味から、一粒万倍日に始めたことは大きな成果を挙げると考えられています - 寅の日
干支を軸に12日周期で訪れる吉日で、金運に良いとされている日です
キリが良い日・ゾロ目の日
「10月10日」「12月12日」といったキリが良い日や、「令和3年3月3日」のようなゾロ目の日に決める考え方もあります。見栄えが良いため何となく気持ち良い、書くのが楽しいといったメリットが挙げられます。覚えやすさや話のタネにしやすい等も魅力といえるでしょう。
何らかの特別な意味や関係がある日
自分や会社にとって何らかの意味がある日を会社設立日にする考え方もあります。具体的な例は以下の通りです。
- 自分や家族、ペット、大切な人の誕生日
- 年中行事の日
- ソウルナンバー(生年月日のすべての数字を足して出てくる数)に該当する日にち
- 語呂合わせ
自分にとって最もタイミングが良い日
これまで紹介した決め方とは関係なく、自分にとって最もタイミングが良い日を会社設立日とするのも1つの選択肢です。プライベートの大きなイベントが一段落した後や、会社設立の準備が整い次第すぐに手続きをするのも良いでしょう。
実務を考慮した会社設立日の決め方
続いて、実務を考慮した会社設立日の決め方を紹介します。
毎月1日は避ける
毎月1日はキリが良く、月のスタートの日でもあるため、何となく縁起が良いように感じるかもしれません。
しかし節税の面から考えると、毎月1日は避けることをおすすめします。会社設立日を月の2日目意向にすると、法人住民税の節税ができるためです。
法人住民税は事務所が所在地に置かれていた月数で計算しますが、1ヵ月に満たない月は切り捨てられます。すなわち会社設立日を2日目以降にすれば、設立初年度の法人住民税は11ヵ月分になり、1ヵ月分の節税が可能です。
消費税の免税期間がなるべく長くなるようにする
個人事業主が法人成りをする場合、消費税の免税期間がなるべく長くなるように会社設立のタイミングを決めるのが良いでしょう。
多くの場合、会社設立初年度および2期目は消費税の免税事業者となります。そして設立初年度として扱われるのは会社設立日から最初の決算日までの期間です。事業活動を開始した日からではありません。
会社設立日から事業開始までに期間が空いてしまうと、免税事業者としての実質的なメリットを得られる期間は短くなってしまいます。例えば会社設立日から事業活動開始までに5ヵ月の期間が空いてしまった場合、初年度の実質的な免税期間は7ヵ月となってしまうのです。
免税事業者のメリットを最大限に享受するには、会社設立日と事業開始日がなるべく近いのが理想です。会社設立そのものだけでなく、事業活動に向けた準備がある程度進んでから会社設立手続きをすることをおすすめします。
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