会社は立ち上げを検討してすぐに設立手続きが完了するものではありません。会社設立のためにやるべき作業が多く存在するため、想定よりも時間がかかってしまうケースは多くみられます。
会社設立日として理想とするタイミングがある場合、会社設立にかかる期間の目安を把握し、逆算して予定を立てるべきでしょう。今回は会社設立にかかる期間の目安や、会社設立準備を長引かせないためのポイントを解説します。
会社設立にかかる期間のトータル
会社設立にかかる期間の目安はトータルで2〜3週間程度です。会社概要を決める工程から法務局での登記完了までを想定しています。
「会社設立は1日でできる」という情報も見受けられますが、会社設立を1日で終わらせるのは現実的とはいえません。理由として以下の3つが挙げられます。
- 会社概要は重要事項のため、時間をかけて丁寧に決めるのが前提となる
- 定款作成、定款認証、資本金の払込、法務局への登記申請といった手続きすべてを1日で終わらせるのは難しい
- やるべきことが多い中で時間的な余裕がないほどミスのリスクが高くなる
なお、法務局へ登記申請をしてから登記が完了するまでに1週間ほどかかります。仮に会社設立手続きが早く済んでも、すぐに会社として活動を開始できるわけではありません。
会社設立の各工程にかかる期間の目安
会社設立手続きは大きく4つの工程に分けられます。各工程にかかる期間の目安について解説します。
会社設立に向けた事前準備
事前準備は会社設立手続きの中でも最も時間がかかる工程です。該当する作業として以下の例が挙げられます。
- 会社概要の決定(会社名、本店所在地、事業目的、資本金の額、発起人など)
- 発起人全員分の印鑑証明書の用意
- 法人用の実印の発注
中でも特に時間を要するのは1の「会社概要の決定」です。これらは会社の方向性を決める要素であり、定款の絶対的記載事項も含まれます。会社にとって特に重要な要素であるからこそ、余裕をもったスケジュールで丁寧に決める必要があります。
会社概要の決定やそのほかの準備にあてる期間として、1〜2週間程度は確保するのが理想です。
定款作成・定款認証
定款は会社に関するルールをまとめたものです。会社の運営を決定づけるものであるため、不備や漏れがないよう丁寧に作成する必要があります。
定款作成や定款認証にかかる期間は、専門家に依頼するか否かによって変動します。
より短期間で仕上げられるのは自分で作成する場合です。すでにあるテンプレートやフォーマットを活用すれば数時間で作成できるケースもあります。その後の定款認証がスムーズに済めば定款に関する作業は1日で完了です。
ただし定款作成には細かなルールが多く、専門知識のない人が対応するのではミスや漏れのリスクが高くなります。早く対応できた場合でも、修正の必要が生じて二度手間となる可能性が高いです。
専門家に依頼する場合は最短でも数日、一般的には1〜2週間程度かかります。ただし、ミスや漏れのない定款を確実に作成できる点は大きなメリットです。
資本金の払込、払込証明書の作成
資本金の払込および払込証明書の作成は30分〜1時間程度、長くても1日のうちに完了するでしょう。定款認証の完了直後に行うのが一般的です。
法務局での登記申請~登記完了
必要な作業がすべて完了したら本店所在地を管轄する法務局へ登記申請を行います。必要書類を準備する作業や内容に問題がないかを確認する時間を考えると、1〜3日ほど確保するのが安心です。
なお、登記申請から登記完了までに1週間程度かかります。登記完了の連絡は来ないため、登記が問題なく完了したかは自分で確認が必要です。
会社設立にかかる期間を長引かせないためのポイント
続いて、会社設立にかかる期間を長引かせないためのポイントを3つ紹介します。
最初に大まかなスケジュールを立てる
会社設立手続きを長引かせないためには、最初に大まかなスケジュールを立てるのがおすすめです。いつまでに何をするかが明確になるため、必要以上に時間をかける恐れや、作業を後回しにしてしまうリスクを抑えられます。
ただし、数日や1週間といった短期間のスケジュールを立てるのは避けましょう。時間の余裕がないとミスや漏れが起こりやすくなる上、トラブル発生時の調整がきかないため、スケジュールを守れないリスクが高まります。
手続きごとに不備や漏れがないか確認する
会社設立にかかる期間を長引かせないためには、手続きをひとつ進めるごとに不備や漏れがないか確認しましょう。
会社設立手続きに要する時間が長くなる原因として、ミスや漏れを修正する作業が挙げられます。スピーディーに作業を進めたつもりでも、やり直しの必要性が生じればその分時間がかかります。
頻繁かつ丁寧なチェックには時間がかかりますが、ミスや漏れのリスクを下げる方法としては最適です。修正作業が発生しなければ、会社設立手続きにかかる期間が結果として短くなります。
なお、ミスや漏れのリスクを抑えるという意味では専門家に依頼する方法も効果的です。収集艦から1ヵ月程度の時間はかかりますが、無駄なく効率的な会社設立手続きができます。
設立にかかる期間が短く済む会社形態を選ぶ
現在設立できる会社形態4つのうち、設立件数が最も多いのが株式会社、2番目が合同会社です。
このうち、合同会社の方が設立にかかる期間が短く済みます。理由として以下の3つが挙げられます。
- 経営者と出資者が同一のため決めるべき事項が少ない
- 定款認証が不要
- 法務局への登記申請に必要な書類が少ない
会社設立にかかる期間を短くすることが目的であり、会社形態にこだわりがないのであれば、合同会社を選ぶのもおすすめです。
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