地主の方の不動産相続に向けて、取り組むべき3つのポイントを解説

不動産

地主の方は、相続の際に「財産の大半を引き継がれた土地が占めているため、現金としての資産が少なく納税額を支払えない」「相続発生後の申告期限が短く、相続税策をおこなう時間がない。」といった悩みに多く直面するといわれています。初動が遅れ、特例が適用されなかった、納税額を多く支払うことになってしまったといった事態に陥らないように、事前に取り組んでおくべきことを詳しく解説します。

地主の方でお悩みの方は一度、税理士事務所にご相談することをお勧め致します。

不動産の相続に向けて今から取り組むべきこと

申告漏れがばれるよくあるパターン

相続に向けて早めに動き出した方がよいことはわかったものの、何から始めればよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。ここでは、生前に取り組んでおくとよいポイントを、3つに分けて詳しく解説します。

不動産の棚卸

相続をするにあたり、まずは保有している財産がどのくらいあるのかを把握することが大切です。不動産だけではなく、有価証券や現金など全ての財産を洗い出しましょう。また、不動産は優良不動産と不良不動産に分けておくことをおすすめします。優良不動産は自宅や賃貸マンションなどが該当し、不良不動産は古びた貸家や古びたアパートなどが該当します。相続税は現金で支払わなければならないため、申告が遅くなるほど、換金率や流動性の高い優良不動産から失ってしまう可能性が高いです。手元に不良不動産だけが残ってしまわないように、不良不動産は早めに売却し現金化したほうがよいでしょう。

相続税の算出

相続税は以下の5つの手順で概算を算出可能です。

  1. 課税価格の合計額を把握する。

「課税価格の合計額=資産-債務や葬儀費用など」

例えば、不動産や現金などを合わせて資産が2億円、債務が5,000万円、葬儀費用が200万円だった場合、課税価格の合計額は1億4,800万円です。

  1. 基礎控除額を計算する。

「基礎控除額=3,000万円+法定相続人の数×600万円」

例えば、法定相続人の数が3人だった場合の基礎控除額は4,800万円です。

  1. 相続税の対象となる課税遺産総額を算出する。

「課税遺産総額=課税価格の合計額-基礎控除額」

先述した金額をあてはめると、課税遺産総額は1億円です。

課税価格の合計額<基礎控除額の場合は相続税の納税対象にはなりません。

  1. 相続税の総額を算出する。

「各法定相続人の法定相続分に応ずる取得金額=課税遺産総額×各法定相続人の法定相続分」

「各法定相続人の算出税額=各法定相続人の法定相続分に応ずる取得金額×税率-控除額」

例えば、今回の相続人が配偶者と子ども2人の場合、配偶者の算出税額は800万円、子どもはそれぞれ325万円です。

そして、相続税の総額はそれぞれの算出税額を合計した1,450万円です。

法定相続分と税率、控除額を詳しく知りたい方は、国税庁のホームページをご確認ください。

  1. 各相続人等の税額を算出する。

「各相続人等の税額=相続税の総額×各相続人の相続割合-各種控除額」

例えば、配偶者の相続割合が40%、それぞれの子どもの相続割合が30%ずつだとすると、配偶者の相続税は580万円、子どもはそれぞれ435万円です。ここから、基礎控除額とは別に各種控除額を差し引かなければなりません。

遺言書の作成

相続人がスムーズに相続の手続きを進められるように、遺言書の作成をおすすめします。遺言書は自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類に分かれますが、今回はよく利用される自筆証書遺言と公正証書遺言を解説します。自筆証書遺言は、費用をかけずに気軽に作成できますが、無効になりやすかったり、紛失してしまうリスクが高いのが特徴です。公正証書遺言は公証人が作成するため無効になりにくく、公証役場で原本を保管するため紛失するリスクが低い一方で、費用や手間がかかってしまいます。それぞれのメリットとデメリットを比較しながら、遺言書の種類を検討するとよいでしょう。

相続した不動産を売却すると発生する税金と、節税対策を解説!

相続税対策

まとめ | 相続対策は専門家へ依頼がおすすめ

生前でも取り組める相続税対策はいくつかありますが、今回は2種類の方法を解説します。相続税の対策方法はさまざまあるため、比較検討しながら自身の不動産にあった方法を選択しましょう。

建物を建築する

相続した不動産に自身が住む建築物のみがあったり、更地の場合は土地を使用するための自由度は高くなります。しかし、土地に賃貸用のアパートやオフィスビルを建てると、自由度が下がるため土地の評価額も下がります。また、相続した土地を評価する際に用いるのは、基本は「路線価」です。路線価は市場価格よりも低い価格で設定されているため、購入した金額よりも土地の評価額は下がります。土地の評価額が下がることは、相続税の節税につながります。

生前贈与の活用

被相続人が存命中に資産を贈与するのが生前贈与です。「資産を贈与する=被相続人の資産が減る」ことになるため、相続税の負担を軽減できます。もし、贈与する不動産がマンションやアパートなどの賃貸住宅の場合には、被相続人の資産を減らせるだけではなく、相続人は贈与により確保した家賃収入を、将来の納税資金として活用可能です。

マンションの相続税評価額とは?計算方法や特例を解説!

土地の相続税が払えない場合は?現金以外での納付方法もある

まとめ

保有している資産や負債が多いほど、整理するのは大変です。さらに、相続はいつ発生するかわからない上に、相続税の申告期限も短くなっているため、より大きな負担がかかってしまうでしょう。だからこそ、いざという時に備えて事前に取り組んでおくことをおすすめします。専門家の力も借りながら、まずは目の前のできることから取り組んでいきましょう。

その積み重ねが、大切な資産を守ることにつながり、被相続人も相続人も納得のいく相続を実現させるはずです。

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