生命保険は相続財産にはならない?例外はある?相続税の課税対象かどうかも合わせて解説

相続

生命保険が相続財産になれば、受取人に指定されていたとしても全額が受け取れない可能性が出てきてしまいます。故人の意思が尊重できないだけでなく、受取人が受け取れると想定していたものからも外れてしまうでしょう。

この記事では、生命保険が相続財産にならないかどうか、例外があるかどうかを解説します。また、受け取った生命保険が相続税の課税対象となるかどうかも合わせて紹介します。

相続対策を生前におこないたい場合は、税理士などの専門家への相談がおすすめです。

生命保険は原則として相続財産ではない

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相続財産とは、被相続人(亡くなった方)が残す財産であり、相続人が承継するものです。生命保険は、被相続人が亡くなることで指定された受取人が受け取れる財産であり、被相続人が保有していた財産ではないため「相続財産」ではありません。このため原則として遺産分割の対象ではなく、遺産分割協議書への記載は不要です。また、遺留分の対象外になります。

このため、相続財産とは異なり以下のような取り扱いになります。

  • もし受取人が相続放棄をしていたとしても受け取れる
  • 受取人が法定相続人でなくても受け取れる

生命保険が相続財産となるケース

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保険契約によっては、死亡保険金等が相続財産となるケースもあります。主なケースは以下のとおりです。

  1. 契約者が被相続人(亡くなった方)であったが、被保険者ではない場合
  2. 保険契約の受取人が被相続人(亡くなった方)であった場合
  3. 受取人を指定していなかった場合や「相続人」とだけ指定していた場合
  4. 受取人がすでに死亡しており、変更していなかった場合

1.契約者が被相続人(亡くなった方)であったが、被保険者でない場合

この場合、被保険者は死亡しておらず、死亡保険金は支払われません。契約を親族など誰かに引き継ぐか、解約して解約返戻金を請求することになります。

この時、解約返戻金を請求する権利は法定相続人が相続し、相続財産として扱われます。

2.保険契約の受取人が被相続人(亡くなった方)であった場合

この場合、死亡保険金の請求権は被相続人(亡くなった方)が有することになり、相続財産として扱われます。

3.受取人を指定していなかった場合や「相続人」とだけ指定していた場合

この場合、死亡保険金の請求権は法定相続人が相続することになり、相続財産として扱われ、法定相続分の割合で相続します。

4.受取人がすでに死亡しており、変更していなかった場合

この場合、死亡保険金の受取人は契約している保険会社の約款で決まります。しかし約款で規定がないときは、保険金受取人の法定相続人が均等に分割することになります。法定相続分の割合ではない点に注意が必要です。

以上のように、死亡保険金が相続財産として扱われるケースがあります。もし相続放棄をした場合、2のケース「被相続人(亡くなった方)が受取人の場合」だと、死亡保険金が受け取れなくなるため注意が必要です。

死亡保険金が特別受益となるケース

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特別受益とは、相続人の中で、被相続人(亡くなった方)から生前に特別多くの財産を贈与された方がいた場合「特別多く得た部分」のことをいいます。各相続人の間で不公平を是正するため、特別受益を受けた方がいると認められた場合は、特別受益部分は相続財産と合算して各相続人への配分を決めることになります。

死亡保険金は原則として特別受益として扱われません。被相続人(亡くなった方)から受取人に贈与されたものではないからです。しかし特段の事情がある場合には、死亡保険金も特別受益とされるケースがあります。特段の事情とは、各相続人の間で不公平が著しいと認められる場合であり、保険金の額、保険金の額が遺産総額に占める割合、被相続人の介護など貢献の実態などを総合的に勘案して判断されます。

生命保険はみなし相続財産であり、相続税の課税対象

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以上のように、生命保険は原則として相続財産ではなく、例外的にのみ相続財産として各相続人が相続するケースがあるところです。

一方で相続税法上では、保険料を被相続人が負担していた保険契約の死亡保険金は、相続等により取得したものとみなされて相続税の課税対象となります。本来の相続財産ではないものの被相続人(亡くなった方)の死亡をきっかけに受け取る財産を「みなし相続財産」といい、相続税が課税されます。死亡保険金はみなし相続財産のひとつです。

ただし、死亡保険金は税務上「非課税限度枠」があり、全額が課税対象となる訳ではありません。非課税限度枠は以下のとおりです。

「500万円×法定相続人の数=非課税限度枠」

法定相続人の数は、相続放棄をした方がいても人数としてカウントします。また、法定相続人のなかに養子がいる場合は、実子がいるときは1人、いないときは2人までとなります。

また、相続人以外の方が死亡保険金を受け取った場合は、非課税限度額の適用はないため注意が必要です。

複数の相続人が生命保険を受け取っている場合は、非課税限度枠を生命保険金の金額を按分してそれぞれの相続人の非課税金額を算出します。

まとめ

節税効果の誤解

以上、生命保険は原則として相続財産にならないこと、例外的に相続財産となるケース、および相続税の課税対象になるかどうかについて解説しました。

死亡保険金は金額が大きくなるケースが多いため、相続人の間で不公平を感じる原因になりやすいところです。生命保険は被相続人(亡くなった方)の意思を反映できる手段ですが、あまりにも金額が大きく相続財産総額に対する割合が高い場合には、特別受益とみなされる可能性もある点も念頭におく必要があるでしょう。

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