タワマン節税が見直される動きに。そもそもどんな節税手段なのか?

税務情報

タワーマンション節税が問題となっています。というのも、タワーマンション節税とは購入した時の金額と相続時の評価額の乖離を利用した節税手段です。2012年頃よりアベノミクス効果によって都心のマンション価格が上昇しはじめたり、税制では相続税が強化されるようになったのがタワマン節税ブームの背景です。

つい先日も、国税庁の「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」でタワーマンション節税に関して議論がなされており、本格的な見直しが検討されています。この記事ではタワーマンション節税とは具体的にどういった節税なのか、そのメリットやデメリットについて解説します。

タワーマンション節税とは

タワーマンション節税とは

タワーマンション節税とは、簡潔に言えばタワーマンションの物件を購入した時の金額と相続時の評価額との乖離を利用した節税手段です。相続では多額の現預金を持っていると、相続税が課されます。そこでタワーマンションを購入し、不動産として所有することによって財産評価額を低くして、相続人に課される税金を抑えられます。

例えば1億円の現預金を持っている場合、そのまま保有していると1億円が相続時の課税対象となります。しかし、被相続人の生前に1億円でマンションを購入したとします。すると、評価額が時価の3割程度と仮定すると、評価額は3,000万円となり、7,000万円も節税できることになるのです。

このように、相続税対策としてタワーマンションを購入する富裕層が増えています。近年では相続税が強化されているなかで、タワーマンション節税が注目されています。

タワーマンション節税の税制上のメリット

タワーマンション節税の税制上のメリット

ここでは、タワーマンション節税のメリットについて解説します。タワーマンションが相続税の制度上から考えるとお得な節税方法だとわかるでしょう。また、小規模宅地等の特例を適用することでより一層の節税を見込めます。

土地の相続税評価額が低い

タワーマンションの相続税評価額は、土地全体の評価額を各部屋の占有面積に応じて算出します。例えば、全部屋の床面積が同じタワーマンションに100人が住んでいるとすると、その土地の評価額の100分の1が相続税評価額です。

都心などのタワーマンションは年々高騰しています。マンションを購入する際は多額となる一方で、このような土地の相続税評価額の仕組みを活かし、相続時には評価額を抑えることができるのです。タワーマンション節税は、都心のマンションのように高価格帯で推移している物件において大きな効果を期待できます。

固定資産税評価額と時価で乖離がある

タワーマンションの上層階と下層階では購入時での価格の差はあるものの、固定資産税評価額においてはさほど差がありません。固定資産税評価額とは固定資産税などを算出する際に用いられる基準価格のことで、公示価格の70%を目安に設定されています。相続税評価額は固定資産税評価額をもとに算出されるため、上層階の物件を購入するほど節税効果が見込めるといえます。

小規模宅地等の特例を適用できる

タワーマンション節税では小規模宅地等の特例を適用できます。小規模宅地等の特例とは、被相続人が住宅として使っていた土地を配偶者や同居する親族が相続する場合に相続税評価額が8割差し引かれ、大幅に抑えることができる制度です。

この制度が適用されるには「被相続人が住んでいた土地であること」「330平方メートル以下(100坪)」「相続人の続柄」といった条件を満たさなければなりません。

これまでに説明したように、ただでさえタワーマンション節税はお得に相続税評価額を抑えられますが、小規模宅地等の特例の適用によってさらに相続税を減税できるのです。

タワーマンション節税でのリスク

タワーマンション節税でのリスク

相続税の仕組みからも節税手段としてお得なタワーマンション節税ですが、その一方でリスクも伴います。

税務署から否認される場合がある

近年ではタワーマンション節税が問題視され、国税庁や税務署も怪しい申告書に目をつけています。明らかにマンションの用途が節税目的である場合には、税務署から否認されることもあります。わかりやすい例として、地方在住の富裕層が東京のマンションを保有している場合などで、税務署はタワーマンション節税を疑います。

そのため、タワーマンション節税だけを目的とした物件の購入は控えたほうが良いでしょう。小規模宅地等の特例を適用できるのであれば、購入したタワーマンションに家族とともに引っ越すなどもできるので、タワーマンションに住みたいと望んでいる場合であれば便利な節税手段ではないでしょうか。

税制改正が行われるリスクがある

タワーマンション節税がブームとなった時期に、2017年の税制改正でタワーマンションの固定資産税が見直されました。それ以前はマンションの上層階・下層階問わず固定資産税は一定だったものの、この税制改正では1階上がるごとに固定資産税の負担割合が増えることになりました。

このように、節税目的でタワーマンションを購入した当初は適用されていた税制が、相続時では税制改正によって適用条件が変わってしまったり、制度自体が無くなってしまうこともあります。

タワーマンション節税は国税庁で見直されている

タワーマンション節税は国税庁で見直されている

2023年6月30日に、国税庁の「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」にてタワーマンション節税について議論がありました。政府は2024年初頃よりタワーマンション節税を見直す動きに入るようで、タワーマンション節税に厳しいメスが入ることになりました。これまでの節税効果は薄れますが、公正な納税がより一層求められるようになるでしょう。

不動産投資オーナーのサポート実績900法人以上。
法人化・キャッシュフロー改善に強い税理士法人です

関連記事

特集記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP